原宿駅から竹下通りの喧騒を抜け、
少し落ち着いた空気に変わった辺り。
アパレルショップの立ち並ぶ裏原宿エリアに
ローランド日本初の直営店 “Roland Store Tokyo” が顔を覗かせる。
ぴかぴかの新しいショップでありながら、
まるで昔からこの街に存在していたかのような
自然と溶け込んだ佇まい。
それはまるで、
音楽と生活が、
当たり前に共存している日常を
体現しているかの様だった。
“Roland Store Tokyo” とは?
概要
“Roland Store Tokyo”(ローランドストア・トウキョウ)は、
2023年10月1日にオープンする
ローランドの国内初出店となる直営店。
ローランドは、創業50年にあたる2022年に、
英国ロンドンでローランド初の直営店“Roland Store”をオープン。
楽器演奏や音楽制作を通して創造力が刺激されるような体験を提供し、
ユーザーの音楽ライフをより豊かにするためのサポートを行ってきた。
今回オープンする“Roland Store Tokyo”は
ロンドンに続く第2号店であり、
“Roland Store”のコンセプトを基本としながら
ユーザーにローランドの電子楽器を
よりよい環境で体験してもらうことで、
音楽を創造する楽しさを存分に味わい、
末永く音楽ライフを楽しんでもらう事を目指している。
それでは、フロア毎の特徴を見てみよう。
1階 シンセサイザー・デジタル楽器とライフスタイル
1階はローランド製品の代表格とも言える
シンセサイザーを軸にしたフロア。
ワークステーション、ステージピアノ、アナログモデリングシンセ、ガジェット系シンセ…
ローランドの最新シンセサイザー主要機種がズラリと出迎える。
先日発表されたばかりの
シンセサイザー “GAIA 2”も展示されていた。
シンセサイザーの他には、
デジタル管楽器“Aerophone”シリーズ、
ダンス&DJ関連製品などが鎮座。
入り口左手には、
ローランド・ロゴや製品のイメージが入ったTシャツをはじめ、
トートバッグ、マグカップ等さまざまなグッズが並ぶ。
まるで
デジタル楽器と生活を共にする楽しさが
表現されているかのようだ。
続いて、地下フロアを見てみよう。
地下1階 Vドラムとエフェクター類 “ライブ”感のフロア
1階の奥に地下フロアへと続く階段があり、
階段の側面には、ローランド製品の歴史を辿ることの出来る
パネルが展示されている。
筆者は2000年前後からRoland製品のお世話になっているが、
50年の歴史を垣間見ることが出来て非常に感慨深い。
地下1階は、
ローランドの電子ドラム“Vドラム”シリーズと
BOSSブランド製品のフロア。
数々のエフェクターやギターアンプの試奏が可能で、
電子ドラムもエントリー・モデルからプロフェッショナル向けまで
幅広くラインナップ。
珍しいところでは
電子和太鼓の “TAIKO-1”が展示してあった。
このフロアの興味深い点は
フロアにおける映像・ 照明技術である。
映像ミキサー等の製品も手がけるローランドであるが、
店内スクリーンの映像や音楽、照明は
相互に連動するプログラムが用意されているとのことで、
ドラムの特定の音に応じて
店内の照明が反応するのだという。
このライブ感はぜひ現場で体験して頂きたい。
2階 快適な居心地のピアノ空間
外階段を通って2階に向かうと、
デジタル楽器中心のエレクトリックな1階とも
バンド音楽イメージの地下フロアとも打って変わって
観葉植物や温かみのある照明器具が配置された
快適なリビングの様な落ち着いた空気感が出迎えてくれる。
この空間作りについて
代表取締役社長 ゴードン・レイゾン氏に伺ったところ、
次のコメントを頂戴した。
家族が居て、畳の部屋に居る様な雰囲気を作りたかった。
原宿の、どちらかというと喧騒の著しい場所にあっても
静寂であったり、快適である空間を作りたかったのです。
東京に来られた際には、いつでもピアノを演奏しにいらしてください。
フロア内には
最高峰 デジタル・グランドピアノの GP-9M をはじめ、
プレミアム・ホームピアノ LX708 等が並び、
静かな落ち着いた環境での試奏が可能だ。
GP-9M を試奏させて頂いたが、
繊細なタッチまで実に心地よく表現してくれた。
反響板とスピーカーの位置関係にもこだわり抜いた立体的な音響。
居心地の良い空間とも相まって、いつまでも弾いていたくなる。
ローランドと国内最大手家具メーカーのカリモクのコラボ商品である
家具仕上げのデジタルピアノ「KIYOLA」も展示される。
天然木の暖かさ、優しい肌触り、手作りの独特の味わい…
暮らしの中に自然と溶け込むピアノをぜひ体験頂きたい。
質疑応答
“WHY Harajuku?” なぜ「原宿」なのか?
I’m always asked question , “WHY Harajuku?”
いつも受ける質問なのですが、
「なぜ原宿なのですか?」
質疑応答において
代表取締役社長 ゴードン・レイゾン氏は
出店地に原宿を選定した理由を熱く語る。
原宿は、日本の中において歴史のある街です。
創造性があり、文化がある。
そして、情熱を持って人々が物事を創造することに繋がりのある街です。楽器演奏経験の有無にも、年齢にも、ひいては国籍にも関わらず
原宿という場所は人々の経験を広げる、情熱と創造性に溢れた街です。
長年カワイだけがあった(FENDER FLAGSHIP TOKYO が出店したことも記憶に新しい)原宿・表参道エリア。
オンキョーやGibsonがショースペースを作った東京・八重洲や、
ショールームの様なヤマハ銀座店とも異なる、
この場所を選んだ理由。
感覚的とも思えるメッセージであったのだが、
この店舗の佇まいが、レイゾン氏の熱量が、
全てを物語っているのではないか。
そう思い直し、レイゾン氏に
新しい店舗であるにも関わらず街並みに馴染んでいた第一印象と、
それは、音楽が日常生活の一部・文化として
溶け込んで行ってほしいという願いの現れ
である様に感じた事を伝え、
原宿が、お茶の水・神田のような昔ながらの「楽器の街」とは異なる
新たな「楽器の街」としてのモデルケースとなる期待を持つ筆者は、
原宿の地域・他業種の企業・他の楽器メーカー等と
連携して新たな事を始める可能性について尋ねてみた。
Wonderful question !
とレイゾン氏は語り始めた。
素晴らしいご質問、ありがとうございます。
新しい店舗であるにも関わらず街並みに馴染んでいる
という事を言っていただきありがとうございます。意図した空間作りというのは、
ミュージシャンの皆さんに快適な感触を持っていただきたい、
というだけではなく
音楽をやらないような、ミュージシャンでないような方々にとっても
かっこいいな、いいなと思ってもらえる様な
空間づくりを目指しました。また、楽器を演奏しないからといって
「楽器屋さんだから…」と
足を踏み入れるのを怖がるような事がないように、
という事も心がけました。
ミッション 〜世界中に音楽を創造する喜びを広げる事〜
さらに氏は続ける。
We have a passion,
We have a mission,
to spread the joy and benefit of music creation to everyone.私たちは情熱を持っています。
また、当社のミッションは、
世界中に音楽を創造する喜びを広げる事です。
ビジネスである以上、出店地について
マーケティングの視点は必ず存在する筈であるが、
同時に店舗出店そのものが
ローランド社のミッションの表現であるのだろう。
他業種等との連携についても
常にその様な機会を求めています。
他の楽器メーカー、それ以外の業界の企業であっても、
あらゆる連携の機会を探し求めています。
何かご紹介を頂ける様でしたら喜んで伺いたいと思っております。
と可能性を語って頂けた。
また、ミュージシャンでない方々を招くに当たっての
イベント等も計画している様だ。
音楽を行わない一般の方に来店して頂くことは
我々スタッフにとっては挑戦になります。
3分間で音楽を創る喜び、
楽器を演奏したり音楽を創造する喜びを
感じて頂ける様な事を行いたいと考えています。
そのために、ワークショップやイベント等について計画して参ります。
今後の店舗の動向が実に楽しみである。
まとめ
旅行者・若者・ファッション・音楽…
様々な文化やサブカルチャーが集結する原宿。
その原宿から
ローランド日本初の直営店 “Roland Store Tokyo”が
世界中に音楽を創造する喜びを広げる事をミッションに
2023年10月1日にオープンする。
ミュージシャンも、
普段あまり音楽に関わらない方々も
ぜひ一度、脚をお運び頂きたい。