※画像はこちらからお借りしました。
フリージャズやプログレッシブ・ロックをサンプリングしたトラック、哲学や映画を下敷きにした歌詞、そして3人のMCが絡み合うようにマイクをリレーしていく独特のグルーヴ——それがDos Monos(ドスモノス)です。
中高時代の同級生3人が大学進学後に結成したというエピソードもユニークですが、さらに驚くのは当初メンバーの一人はヒップホップを聴いたことすらなかったという事実。
にもかかわらず、その後の活動はSUMMER SONICへの出演、アメリカのレーベル・Deathbomb Arcとの契約、UKロックバンドblack midiとのヨーロッパツアーと、あっという間に国内外のシーンへ打って出るものになりました。
オルタナティブヒップホップ、日本語ラップ、実験音楽——どのジャンル名を当てはめても収まりきらないDos Monosの音楽を、この記事でじっくりご紹介します。
Dos Monos
メンバー紹介
荘子it(ソウシット):Rap・トラックメイカー担当。
Dos Monosの楽曲制作を一手に担うトラックメイカー兼MCです。
哲学・映画・音楽にまたがる膨大なインプットをサウンドに昇華し、フリージャズやプログレをサンプリングした独創的なビートを生み出します。
他アーティストへのプロデュースや楽曲提供も行っています。
TaiTan(タイタン):Rap担当。
クリエイティブディレクターとしても活動し、フリーマガジン『magazineii』の発行や、テレ東停波帯ジャック番組『蓋』の制作なども手がけます。
MONO NO AWAREの玉置周啓とのSpotifyポッドキャスト『奇奇怪怪』やTBSラジオ『脳盗』のパーソナリティとしても知られています。
没 aka NGS(ボツ・エーケーエー・エヌジーエス):Rap担当。
スペイン語圏カルチャーへの造詣が深く、グループ名「Dos Monos」を提案したのも没です。
ビジュアルアートも手がけるなど、音楽外での表現活動も旺盛です。
簡潔な来歴
Dos Monosは東京都内の中高一貫校で出会った3人が、大学進学後に結成したヒップホップトリオです。
荘子itが趣味で作っていたビートを作品化しようと2人に声をかけたことが始まりで、当時メンバーはラップ経験もなく、TaiTanにいたってはヒップホップを聴いたこともなかったといいます。
「Dos Monos」はスペイン語で「2匹の猿」を意味しますが、荘子itはそこに「猿2.0(進化した猿)」という独自の解釈も付け加えています。
一時期は没の留学などで活動を休止していたものの、ソウルでの初の海外ライブを成功させると、「出れんの!?サマソニ!?」オーディションに応募総数3600組の中から勝ち抜き、SUMMER SONICへの出演を果たします。
その後、アメリカのインディーレーベル・Deathbomb Arcと契約し、デビューアルバム『Dos City』をリリース。
台湾IT担当大臣のオードリー・タン、作家・筒井康隆、漫画家・林田球、UKロックバンド・black midiなど、ジャンルを超えた顔ぶれとのコラボレーションを次々と展開しました。
テレビ東京の停波帯をジャックした異色番組『蓋』を映像ディレクター・上出遼平と共同制作し、アルバム『Larderello』と連動させるなど、音楽の届け方にも独自の視点を持ちます。
ヨーロッパツアーを経て第1期の活動を終え、「ヒップホップクルーを経て、ロックバンドになる」と宣言しながら第2期へと突入。
最新アルバム『Dos Atomos』では大友良英ら国内外の先鋭的なミュージシャンを迎え、バンドサウンドへと大きく舵を切っています。
HP・SNS等
Dos Monos 公式X
メンバー公式X
荘子it (@ZoZhit)
TaiTan (@tai_tan)
没 (@botsu_ngs)
公式YouTube
Dos Monos Wikipedia
Dos Monos おすすめ曲
in 20XX
デビューアルバム『Dos City』に収録されており、Dos Monosの名を広く知らしめた代表曲です。
怪しくうねるサックスの音色が立ち昇り、そこへ荘子itの実験的なビートが覆いかぶさる独特のイントロは、一度聴いたら忘れられないインパクトがあります。
3人のMCがズレとグルーヴを巧みに使い分けながらマイクをリレーする構造は、ヒップホップのフォーマットを守りつつも、ジャズの即興演奏に近い緊張感をはらんでいます。
Dos Monosを初めて聴く方への入り口として最適な一曲で、彼らが「実験的なのに聴きやすい」と評される理由がよく分かります。
スキゾインディアン(Schizoidian)
デビューアルバム『Dos City』収録曲で、アメリカのFELT ZINEがMVを制作したことで国際的な注目を集めた楽曲です。
「スキゾインディアン」というタイトルからも伝わるように、サウンドは統合失調的な不安定さと鋭さを併せ持ちます。
ビートのスキマを縫うように3人のラップが差し込まれ、フリージャズの混沌とヒップホップのビート感が高密度で同居しています。
Dos Monosのサウンドが海外リスナーからも熱烈な支持を受けている理由を体感できる曲で、言語を超えて刺さる異質なグルーヴが魅力です。
王墓
Amazon Prime Video番組「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」のために書き下ろされた楽曲で、MVも公式チャンネルで公開されています。
荒涼とした砂漠を舞台に展開するMVは振付師・ハラサオリが身体表現のディレクションを担当し、音楽と映像が一体となった独特の世界観を作り上げています。
ビートは重く鋭く、3人のラップは社会批評的なニュアンスを帯びながら丁寧に積み上げられています。
Dos Monosの中でも比較的アクセスしやすいポップな入り口でありながら、歌詞を読み込むほどに深みが増す、リスナーを選ばない一曲です。
QUE GI feat. 大友良英
第2期のDos Monosが送り出したアルバム『Dos Atomos』の先行シングルで、ターンテーブリストとして世界的な評価を持つ大友良英を客演に迎えた楽曲です。
ヒップホップクルーからロックバンドへの転換を宣言した第2期の方向性をもっとも鮮明に示す一曲で、ターンテーブルのスクラッチ音と荘子itのビートが複雑に絡み合います。
3人のMCも力強く、ノイズや即興の要素が増しながらも聴き手を引き込む力は衰えていません。
大友良英という名前に反応する音楽ファンにも、Dos Monosを知る絶好のきっかけになる楽曲です。
MOUNTAIN D
ヨーロッパツアー中から制作され、Dos Monosがバンドサウンドへとシフトするきっかけになったと語られる楽曲です。
それまでのヒップホップ的な質感を保ちながらも、バンドとしての生々しいダイナミズムが色濃く反映されており、第1期と第2期の橋渡し的な位置づけを持つ曲でもあります。
荒削りなリズムと繊細なニュアンスが交互に現れる構造は、ライブでの爆発力を想起させます。
Dos Monosの変化と進化を一曲で体感したい方に、特におすすめしたい楽曲です。
Dos Monos まとめ
Dos Monosは「日本語ラップ」や「ヒップホップ」という枠では語り切れないグループです。
フリージャズ、プログレ、実験音楽、さらには演劇や文学や映像といったカルチャー全体を貪欲に吸収しながら、それをラップとビートに変換していくそのスタイルは、日本の音楽シーンの中でも唯一無二の存在感を放っています。
台湾のIT担当大臣・オードリー・タンとのコラボ、巨匠・筒井康隆との共作、black midiとのヨーロッパツアー——こうした活動の数々は単なる話題作りではなく、彼らが本物の知的好奇心と音楽的野心を持って動いていることの証です。
「第2期はロックバンドになる」と宣言してからの活動でも、その言葉が空手形でないことはアルバム『Dos Atomos』が証明しています。
難解そうに見えるけれど、一度ハマると抜け出せない——そんな磁力がDos Monosの音楽にはあります。
ヒップホップ好き、ジャズ好き、実験音楽好き、どこから入っても「こういう音楽を待っていた」と感じる瞬間が必ずあるはずです。
気になった方は、ぜひ公式YouTubeチャンネルやサブスクリプションサービスで楽曲をチェックしてみてください。
きっと、あなたの心に響く一曲に出会えるはずです。


