Nicori Light Tours インタビュー 「やりたかったことをたくさん試してきた2年間でしたね」

Nicori Light Tours 四人編成最後の勇姿!

2021年夏にデビューした4人組・Nicori Light Tours
Janne Da Arcの元メンバーであるyou(g)とkiyo(key)が中心となり、
タイプが異なるボーカリスト・αyumuko-heiのツインボーカルで活動を続けてきた。

昨年12月リリースの「Departure」
αyumuとko-heiのハーモニーも楽しめる1曲だが、
リリース後にスポーツ紙等でも大きく取り上げられ
楽曲を耳にした方もいるのではないだろうか。

実はこの楽曲のリリースを経て、
年が明けて2024年1月の大阪(@OSAKA MUSE)・東京(SHIBUYA CLUB QUATTRO)での
ワンマン公演を持ってこの4人での活動は最後で、
ko-heiがバンドの脱退を発表している。
そのワンマン公演直前、Nicori Light Tours のこれまで・そしてこれからというお話や
ko-hei自身について、メンバー全員にインタビューする機会に恵まれた。
そのインタビューと共に、別頁では彼らにとって一つの節目となった
SHIBUYA CLUB QUATTRO公演のレポートも当日の写真を交えながらお届けする。

Interview by 北村和孝/Edit by 高橋ちえ

Nicori Light Tours インタビュー

αyumu / Vocal

αyumu / Vocal

 Nicori Light Toursというバンドは
そもそも音楽的にはどういうスタートだったのでしょうか?

you:Janne Da Arcが解散してから
kiyoと2人で新しくバンドをやる時に、
培ったベーシックなものはあるし、それを消してまで何かというよりは、
今までチャレンジをしてなかったこと・今までになかった要素を
取り入れようというのが、最初からありましたね。

 ヒップホップなテイストやミクスチャーのような楽曲もありますものね。

you:そうですね、興味があっても
“さすがにこれを取り入れるのは難しいな”っていうのを
ニコリでは取り入れようかな、取り入れられるんじゃないかなと思って
今までにないアプローチではやっていますね。

kiyo / Keyboard

 今のバンドサウンドでは、キーボードの音が鳴っていても
同期だったりして奏者がいないバンドも増えてますよね。
“鍵盤奏者がいる”ならではの音世界というものを
ニコリにはすごく感じます。

kiyo:音だけ聴くと(鍵盤の)メンバーがいなくても
人間臭いことをやれているバンドもいますし、
だからそこでどう個性を出すかというのを
ずっと考えてやってきましたね。
それは今までの音楽人生でも常にありました。
それでようやく今、“自分らしさ”というものが
この数年で分かりつつあるかな、という感じでいます。
(バンド界に)キーボードプレイヤーというものをもう少し増やすべきだった…
その役割が自分にもあったはずなのに、という責任を
ちょっと感じている部分もあります。

 ニコリはキーボードで色んな音色を使っていたり、
ギターソロもたっぷり入っていたり、
バンドサウンドの王道を貫いてくれている楽しさがありますが、
それは意識されていたりしますか?

you:ぶっちゃけ、“ギターソロはなくてはいけない”みたいなこだわりはないんです。
けど、今までやってきた経験の積み上げから考えると
ギターソロを入れることが自然だったり、
僕に求められているやるべきことなのかなという思いはあるので、
“ギターソロを外す”という考えをあまりしない、ですかね。

 「Departure」(2023年12月リリース)では、ギターソロを
ちゃんとギターソロとして作曲している感じを堪能できますよね。

you:そうですね、ニコリの楽曲でも
アドリブ的な感じで行くものもあるんですけど
「Departure」に関しては、フレーズとか構成をやはり考えました。
楽曲がそうさせたのかもしれないんですけど、自然とそうなりましたし
(曲の)終わり方は相当、悩みましたね。

「Departure」は卒業ソングみたいな感じ

you / Guitar

 テンポもミディアムで、
ちょっと80年代的なロックテイストも感じるような。

you:コード進行の感じとか、確かにそうですよね。

kiyo:ライブの終わりに皆に聴いてもらえる曲を作りたい、
というのがだいぶ前からあって。
こういうテンポ感の曲もニコリにはあまりないなと思ったし、
且つきれいめの曲でもあると言うか。

 ボーカルのお2人はこの楽曲が出来上がってきて聴いた時、
どんな印象でしたか?

αyumu:すごく爽やかで明るくて、前向きな歌詞で。
でも言葉の一つ一つ、フレーズの所々で泣ける部分もあって。
ライブを想定した時にちょっと…感極まっちゃうんじゃないかなって思って、
僕的にはちょっと泣ける曲だなと思いますね。
(補足:インタビュー時点ではこの楽曲をまだライブで披露していない)

ko-hei:自分が脱退するタイミングの最後の曲で、
悲しい歌に捉えられるかもしれないんですけど、
聴けば聴くほど…kiyoさんが書いてくれている歌詞が
前向きな強さ・前に進んでいく気持ちがすごく感じられるので
全然、悲観的ではない曲と思ってました。

kiyo:本当にそうで、別れというよりは旅立ちという、
裏に流れているテーマを感じ取ってもらえたら成功だなと思ってます。

「Departure」のリリースはko-heiさんの脱退とか、
現体制がいったん節目になるタイミングですけど、
ひとつのそういう思いもあって作られた楽曲でしょうか。

kiyo:ko-heiが離れるということはどっしりと真ん中にありつつ、
他にも、僕らの人生の色んな分岐点とか別れというものを盛り込んで、
色んな人に当てはまらせたいという思いで作りましたけど、
作りながらライブの画がずっと見えてたんですよね。

you:今年に入って活動をしている中で、
ko-heiから“ちょっと違う道を歩みたい”みたいな話を相談されて。
そこからメンバー同士で色んな話し合いをして…
僕個人としてもそうでしたし、
4人で継続したいというのを探りながら話し合いをする中で、
逆にいっぱい話をした結果、
今はko-heiが新しく歩む道も本当に純粋に応援したいなと思いますし、
僕らも負けずに頑張ろうっていう、
本当に前向きな気持ちでいるんですね。
何か例えば…メンバー内の不一致みたいな感じで、とかではないですし、
「Departure」は卒業ソングみたいな感じで、
こんな楽曲が作れたのもこの過程を踏まえて
ニコリが活動をしながら歩んで来られたからだと思ってます。

 脱退されることを、もう少し伺っても良いでしょうか。

ko-hei:僕が28歳で、30歳手前という中で自分と人生を照らし合わせた時に、
自分の人生の理想だったり…を、選ばせてもらった感じです。
自分の人生設計を考えたところが一番大きいかな、と思います。

 声質が違うお2人でツインボーカルでやって来て、
αyumuさんはko-heiさんの決断に動揺したのではないかと思いますが、
どんな思いでしたか?

αyumu:やっぱり、ko-heiが抜けたいって言った時はすごくショックだったし、
僕自身ももっと色々と出来ることがあったんじゃないかな、
という風にもこの何ヶ月間は考えましたね。
これからもちろん(ボーカルとして)1人で頑張っていくつもりですけど
今は、ko-heiがいなくなることが寂しい気持ちでいっぱいですね。

you:偶然が偶然を呼んで、今思っても神がかり的なタイミングだなと思う
(ボーカルの)この2人に出会えたのは感謝しかないですし、
良かったなと思っているのは間違いなくて。
奇跡のような感じがしてますね。

 ボーカリストが2人いたことで、
創作意欲も全く尽きなかったのでは?と思ったりしますが。

kiyo:こういう言い方で良いのか分からないですけど、
やりたかったことをたくさん試してきた2年間でしたね。
youと、悶々としてた何年間だろう…
僕らは歌が歌えないしラップも2人では出来ないし(笑)、
というのをちゃんと作品として、自分の曲として2人が歌ってくれた。
それがすごく嬉しかったですし、そういう2年間でしたね。

ko-hei / Vocal

 これからは1人で歌っていくのか、
もしくはツインボーカルで誰かを探すのか…
あくまで今の時点で、ニコリはどうなっていくのでしょうか?

you:今まではαyumuとko-heiのツインボーカルを軸に、
楽曲を作るにしても2人いることを前提に曲を作って来たんですけど、
今後はツインボーカルでなくαyumu1人の予定で行こうと思っているので、
今までの楽曲をちょっとリアレンジ…
と言うのが正しいかは分からないですけど、再構築をして。
それで新しい曲もどんどん制作していって3人でパワーアップして、
これからまた新しいNicori Light Toursというものを
聴いて見てもらおうかなという感じでいますね。
ko-heiは抜けて新たな違う道を歩む、
そして僕らにとってはまた新たな、
Nicori Light Toursのスタートだと捉えています。

「Departure」配信情報

「Departure」ジャケット

<Teaser Movie>2023.12.18(Mon) Release【Digital Single『Departure』】

Digital Single
12/18(月)「Departure」
音楽サイトにて配信!

Departure
JanneDaArcの元メンバーであるyou(Gt)・kiyo(Key)の2人が中心となり、2021年8月にデビューの”Nicori Light Tours” 2023年第4弾デジタルシングルは、ko-hei(Vo.)の最後の曲となる思い入...
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投稿者
北村和孝

埼玉県西川口出身、現在も在住 (あるいは西新宿の職場に籠城)。
元はSSW志望だが90年代後半にrhythmagicを立ち上げて鍵盤やギターもプレイ。
新宿ヘッドパワーを拠点にバンド活動やイベント企画も2010年代まで行なっていた。
大東文化大学卒業後、音楽雑誌Playerに入社。2018年より編集長に。
『高見沢俊彦Guitar Collection 500』『高崎晃Guitar Collection』などの大型写真集、
まるまる1冊女性ミュージシャンで構成した『魅惑のMuses』などの別冊も手がけた。
惜しくも2023年7月で音楽雑誌Playerが休刊となり、フリーの編集者として再スタート。
自ら撮影、取材、インタビュー、執筆するDIYスタイルで洋邦問わず80〜90年代ロックを主体に、
ジャズ/フュージョン、ラジオ、サブカル関連を日々追い続ける。銭湯も趣味。
2024年早々、敗血症ショックで救急搬送されてご迷惑をおかけしましたが回復しつつあります!もう大丈夫!

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