再評価著しい当山ひとみ ベスト・アルバム『Pretty Penny』

名作『NEXT DOOR』のジャケットで使用された当山ひとみのアーティスト写真。

まさかの世界的な評価になりつつある日本のシティポップブーム。
そしてそれに伴ってのアナログレコードブーム。
その手の国内盤がどんどん海外に流出していく時代が来るだなんて、1980年代くらいまではまったく想像がつかなかった。
あの頃は日本のメジャーレコード会社が次々に海外戦略を打っては玉砕し続けていた時代。
LOUDNESSやVOW WOWのような英語で歌うハードロック系、CASIOPEAや姫神、喜多郎のようなインスト系じゃないと受け入れられないと誰もが思いこんでいたのである。

当山ひとみは沖縄出身でありつつ帰国子女でもあり、ネイティブ英語で生活する環境で育った。
愛称がPENNYだったゆえにデビューアルバムのタイトルは『Just Call Me Penny』
1981年に日本コロムビアからデビューシングル「ドア越しのGood Song (So Many Times)」をリリースした際も日本語は得意じゃなかったのだそう。
…っていうのは後聴き世代には言われないと全然わからなかったけれども。
当時のプロデューサーだった兼松光の変名による倉敷光の作詞、後に彼女の音楽的参謀となるギタリスト 米倉良広による作曲でした。
特に1st『Just Call Me Penny』のブラックミュージックのテイストも感じるR&B〜クロスオーバーテイストは今も通用するし、その圧倒的な歌唱力は永遠不滅である。

音楽性の変化は多々あれど、名盤と称される『NEXT DOOR』『SEXY ROBOT』などを続々リリース、80年代の日本コロムビアを支えた代表的な女性シンガーであり、その後も独自のスタンスで歌い続けている現役のシンガーである。

当山ひとみについてあれこれ僕が書くよりも、Barksで掲載された池上尚志さんのインタビューを読んでもらうのがいいです笑…死ぬほど詳しいので。

アニメファンには映画聖闘士星矢『真紅の少年伝説』の主題歌「You are my reason to be〜愛は瞳の中に〜」だったり、かの菊地秀行原作の『妖獣都市』アニメ版で起用された「HOLD ME IN THE SHADOW」「IT’S NOT EASY」でも著名だが、近年当山ひとみが若いリスナーにも脚光を浴びた契機は、シティポップの要人と言えるNight Tempoとのコラボレーションだろう。

彼の2023年作『NEO STANDARD』でそもそも当山ひとみを起用するところがさすがというか、只者ではない感じがするが、「One Love」の作詞および歌唱を当山ひとみが担当。
これがきっかけとなり、2024年にはNight Tempoのリミックスによる「エキゾティック横顔」(原曲は3rd『NEXT DOOR』収録)、さらに「CATHY」(4th『SEXY ROBOT』収録)が、Night Tempoの「昭和グルーヴ」シリーズの一環としてリリースされている。

そして、これら好リアクションも追い風となり、オールタイム・ベスト選曲に加えて初CD化となる未発表曲なども収めたオールタイム・ベスト・アルバム『Pretty Penny』のリリースが決定した。

先述のデビュー曲「ドア越しのGood Song」を筆頭に、1983年のアルバム『NEXT DOOR』と同時期にレコーディングされた未発表曲「DREAMING LOVE」なども収録。
さらにNight Tempo、DJ MURO、ディミトリ・フロム・パリによるリエディットなども収録するなど、まさに正真正銘現在と過去を網羅したオールタイム・ベスト!

ジャケットは気鋭のイラストレーターJAB氏による描き下ろし。この先、アナログレコード化を要望する声も増えそうだ。
というか、改めて聴くと旧譜という感じがしない当山ひとみの不思議さ…時代が追いつくってこういうことを言うのかも。

『Pretty Penny HITOMI TOHYAMA THE BEST & RARE』
リリース情報

当山ひとみ『Pretty Penny HITOMI TOHYAMA THE BEST & RARE』
2024年3月6日発売(同時配信)
2CD COCP-42211~2  定価¥3,300(税抜¥3,000)
発売:日本コロムビア株式会社

Pretty Penny HITOMI TOHYAMA THE BEST & RARE | ディスコグラフィ | 当山ひとみ | 日本コロムビアオフィシャルサイト
当山ひとみのPretty Penny HITOMI TOHYAMA THE BEST & RAREの詳細ページです。CD・DVD・動画の視聴・購入ができます。

【収録曲】(全32曲)
Disc 1【Pop & Groove】
01 SFO-OAKLAND
02 SLOW LOVE
03 RAINY DRIVER
04 WANNA KISS – MURO edit (初CD&配信化)
05 LOVE IS THE COMPETITION
06 SEXY ROBOT – MURO edit (初CD&配信化)
07 TUXEDO CONNECTION – Dimitri from Paris edit (初CD&配信化)
08 エキゾティック横顔 – Night Tempo Showa Groove Mix (初CD化)
09 BRAND-NEW DAY
10 SWEET SOUL MUSIC (KISS OF LIFE)
11 SYMPHONY
12 うたう MY LIFE (初CD化)
13 HEARTBREAK CALENDAR
14 抱かれたら
15 PRIVATE TIME
16 LONELY RIDER/向井滋春 ORISSA feat. Penny

Disc 2 【Sweet & Smooth】
01ドア越しのGood Song
02 ANYTIME ANYPLACE
03 CATHY
04 BEHIND YOU
05 BABY, BABY, BABY
06 HITOKOTO
07 VELVET MORNING
08 DREAMING LOVE (未発表曲)
09 GET MY LOVE
10 IT’S NOT EASY
11 もし Life Story 書くなら (YOU ARE THE ONE)
12 言い出しかねて
13 銀河の片隅で
14 愛しい人~IT ALL COMES DOWN TO LOVE~
15 SILENT NIGHT
16 OUR LOVELY DAYS

3月6日には発売記念ライブも!

さらには発売日の3月6日、六本木クラップスでの発売記念ライヴ開催も決定!

「当山ひとみ ベストCD“Pretty Penny”発売記念ライヴ」
出演:当山ひとみ(vo)、上野義雄(dr)、田口英穂(b)、園山光博(sax)、竹内道郎(g)、寺田正彦(key)、内田ゆう(cho)、鈴木佐江子(cho)
日時:2024年3月6日 open:18:00/start:19:00
会場:六本木クラップス(ROPPONGI C*LAPS)
料金:4,500円 [当日¥5,000](税込)
問い合わせ:六本木クラップス

六本木クラップス 個性溢れるライブと食事が楽しめる六本木のライブハウス、ライブレストラン -
個性溢れるライブと食事が楽しめる六本木のライブハウス、ライブレストラン 六本木クラップス
当山ひとみ | 日本コロムビアオフィシャルサイト
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Newsコンサート・ライヴ情報北村和孝の音楽エッセイ「楽興のとき」新譜情報邦楽
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投稿者
北村和孝

埼玉県西川口出身、現在も在住 (あるいは西新宿の職場に籠城)。
元はSSW志望だが90年代後半にrhythmagicを立ち上げて鍵盤やギターもプレイ。
新宿ヘッドパワーを拠点にバンド活動やイベント企画も2010年代まで行なっていた。
大東文化大学卒業後、音楽雑誌Playerに入社。2018年より編集長に。
『高見沢俊彦Guitar Collection 500』『高崎晃Guitar Collection』などの大型写真集、
まるまる1冊女性ミュージシャンで構成した『魅惑のMuses』などの別冊も手がけた。
惜しくも2023年7月で音楽雑誌Playerが休刊となり、フリーの編集者として再スタート。
自ら撮影、取材、インタビュー、執筆するDIYスタイルで洋邦問わず80〜90年代ロックを主体に、
ジャズ/フュージョン、ラジオ、サブカル関連を日々追い続ける。銭湯も趣味。
2024年早々、敗血症ショックで救急搬送されてご迷惑をおかけしましたが回復しつつあります!もう大丈夫!

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