シンセサイザーが大好きで
マシンライブや解説動画の作成をしている
くりっぱー こと Kurippertronixxx です。
bhodhit magazine さんへの
連載一発目の記事は
アートリア さんの新製品、
“Acid V” を取り上げていきたいと思います。
Youtube「くりっぱーチャンネル」にて
今回の” ARTURIA Acid V “を含めた
シンセの解説動画などを公開しているので
併せてお読みいただけるとうれしいです。
Autria からプラグインソフトウェア『ACID V』リリース!
ARTURIA ACID Vは
アシッドシンセサイザー の名機オブ名機
「Roland TB-303」をエミュレートして
さらにプラグインならではの機能を
追加したソフトウェアです。
発売当初、人気が出なかった TB-303。
モデルとなった Roland TB-303 は
1982年にベースのバッキングのマシン
として発売されましたが、
ベースのシュミレーションという意味では
再現性が低かったのと
当時はデジタルシンセやサンプリングが
盛り上がっていった時期だったので
あまり人気も出ずに忘れられていきました。
アシッドサウンド以前のTB-303のサウンドは
あまり録音物として残されていませんが
ジャズミュージシャンの
Jaco Pastorius「Crisis」や
イタロディスコのアーティスト
Alexander Robotnick「Problems D’Amour」
などで聴くことができます。
DJ Pierre の ”ACID TRACKS” で TB-303 に脚光が!
80年代後半当時は
中古市場で捨て値みたいな値段で売られていた
TB-303だったそうですが、
シカゴのハウスクリエイター DJ Pierre が
TB-303の独特のサウンドと
中毒性のあるシーケンスを発見して
「Acid Tracks」としてリリースして
クラブシーンに衝撃をあたえ、
アシッドハウスというジャンルを確立します。
TB-303の特徴は
独特のウニョウニョしたサウンドと
思いも寄らないトリップ感のフレーズが作れる
シーケンサーにあります。
筆者もクローン機を持っていますが、
適当に打ち込むだけでトリップ感のある
アシッドフレーズを作成できます。
「アシッドサウンド」とは
隠語で「LSDを摂取した時に起こる幻覚作用」を
思わせるようなサウンドだそうです。
そんな中毒性のあるサウンドは
クラブシーンでもてはやされました。
余談ですがレゲエ界に革命を起こした
カシオトーンMT-40に搭載されていた
Sleng Teng(スレンテン)というリズムは
もともと新卒の女性開発者が作ったRockという
リズムパターンだったという逸話もあります。
TB-303もカシオトーンも日本製のものが
海の向こう側でまったくの想定外の使い方をされて
新しいジャンルを生み出したという事実は面白いですね。
TB-303、Hard Floor の影響で “King of Acid Synth” へ!
90年代以降、
電子音楽/クラブミュージックが多様化していく中、
アシッドムーヴメントも一旦は落ち着きますが
ドイツのテクノユニットHard Floorの登場で
「アシッドリバイバル」が起きて
TB-303は「キングオブアシッドシンセサイザー」
としての地位を確立して現代に至るまで
ハウス、テクノ、トランスをはじめ
電子音楽には欠かせないシンセサイザーとなりました。
「アシッドリバイバル」以降は
TB-303にディストーションをかけたり、
複数台使用など使い方も多様化していきました。
「テクノ界のモーツァルト」で有名な
Aphex Twinことリチャード・D・ジェームスは
AFX名義で独自のアシッドサウンドを多数リリースしています。
SQUAREPUSHERの実弟でもある
Ceephax(Ceephax Acid Crew)ことアンディ・ジェキンソンは
ユニークかつ一貫してアシッドサウンドを取り入れた音楽性を追求しています。
今日に至るまでTB-303の改造品、
クローン、ソフトウェアなどもたくさん登場して
ダンスミュージック以外でも様々なジャンルで取り入れられ
現代では「アシッドシンセサイザー」という
電子楽器として定着しています。
アシッドシンセの集大成?!|Arturia “ACID V”
そんな中、数々のシンセサイザーを
エミュレートしてきた ARTURIA さんが
満を持してTB-303をエミュレートした
“ACID V” を発売しました。
アシッドサウンドの再現にくわえて
サブオシレーター、ディストーションやマルチエフェクトの搭載など
いままでのアシッドシンセサイザーの集大成のような感じです。
実機では打ち込みがわかりにくくて
めんどくさかったシーケンサーですが(笑)、
“ACID V” はソフトウェアの視認性、
利便性を最大限に活かして
感覚的に使えるうえに
ランダマイズすることも可能です。
またARTURIAさん独自の
モジュレーション機能なども使えるので
オリジナルの再現にくわえて
現代のモジュラーシンセサイザーのような
新しい使い方もできます。
ソフトウェアの利点はたくさんありますが、
まずサウンドを保存できるのと(笑)
プラグイン音源なので手軽に複数台使えるのと
オートメーションによる時間軸上コントロールなどが可能です。
ドラム音源と組み合わせて鳴らせば
初見の方でも無限にアシッドトラック作れます(笑)。
ARTURIA “ACID V” は
いままでのアシッドサウンドの統合系でもあり、
ネクストアシッドサウンドを生み出せる、
そんなソフトウェアだと思います!
Kurippertronixxx による ACID V 操作方法解説
筆者のYouTube「くりっぱーチャンネル」にて
ARTURIA “ACID V” の解説動画を公開しています。
筆者による “ ARTURIA (アートリア) – ACID V |解説動画 ”
気になった方はぜひチェックしてみてください。