元々、東京パフォーマンスドール立ち上げ時、小室哲哉を音楽監督に起用しようというアイデアがあったのですが、当時の小室哲哉は最先端のクラブミュージックを日本語ロック、ポップスと融合することに夢中だった時期で、いわばAVEXチームとの制作を望みEPICからのレンタル契約になっていました(まぁ、以前丸山茂雄さんにお話しいただいたこの逸話も面白いのですが別の機会に…)。これが契機となり1993〜94年におけるtrf「EZ DO DANCE」のロングセールスを起爆剤にTKブームが起きます。「EZ DO DANCE」と共に起爆剤となったのが『恋しさと せつなさと 心強さと』でした。作詞作曲編曲、全て小室哲哉で、あなたへのエールソングであるとともに、戦うことを決意した強い女性像をも描いた内容が、とりわけ女性ファンの心に響いたと共に、カラオケブームも追い風になりました。サウンド的にはダンサブルな印象でありつつも、ビート感はTM NETWORKの作風に近いロックテイストなのもかっこよかった。宇都宮隆さんがカヴァーしたらまんまTMになると思います。僕としては特になぜかさらに転調するエンディングパートが好きです。1991年よりTV番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』に出演していたことで徐々にお茶の間に存在が浸透してきた彼女にとって、まさに待望のヒットシングルだったのでした。そしてシングルリリース二ヶ月後に彼女は東京パフォーマンスドールを卒業します。
以後のシングル「もっと もっと…」「Lady Generation」もTKプロデュースで、名作アルバム『Lady Generation 〜淑女の世代〜』もやはりTKプロデュース、小室哲哉と久保こーじの作曲、アレンジで大ヒット! 思えば篠原涼子のプロデュースのノウハウがその後の華原朋美や安室奈美恵のプロデュースにもつながった気がします。でも不思議なことに篠原涼子のオリジナルアルバムは『Lady Generation 〜淑女の世代〜』、その前に出た『RYOKO from Tokyo Performance Doll』だけなのです。