市井由理の名作シングルが初7inchアナログレコード化

EPIC・ソニー研究科の北村です。
僕は今、EPIC・ソニーのレーベル設立45周年を祝して、自分の研究成果をまとめた大特集のバディットマガジンを作ろうと切磋琢磨しております。ちょっと体調を崩してその予定が押してしまっておりますが、なんとか2月中旬には予約受付できるようにしたいと動いております。

そのEPIC・ソニーが90年代に手がけたアイドルグループが東京パフォーマンスドールでした。

僕のようなコアなEPICファンは当初は正直ナメて見ていたところがありましたが、当時の原宿ルイードを拠点にしたライブ活動など、いわばアイドル冬の時代だったその突破口を切り開いた存在であると今は語れます。が、 木原さとみをリーダーに、かの篠原涼子や市井由理、穴井夕子、川村知砂、米光美保、八木田麻衣らが当初在籍していた東京パフォーマンスドールって、グループ自体は正当な評価を得るまではいかなかった印象があります。

元々は音楽監督に小室哲哉を起用したい要望が当時のEPICのスタッフにはありました。
ただしTM Network終了後はより自由にクリエイトできる環境を求めるとともに、レイヴ・カルチャーなどに関心を寄せていた小室哲哉は結果的にAVEXと手を組むことになるのでこの目論みは完全にはうまくいかなかった…もっとも、篠原涼子のソロ作のプロデュースなどで大きな成果は残していますが。

一方で東京パフォーマンスドールもどちらかというと篠原涼子や市井由理を筆頭にソロ活動後の方が大きな注目を集めました。大阪パフォーマンスドールや上海パフォーマンスドールのような派生グループを産んだアイドルグループでもあったので、ある意味ではAKB48以後のアイドルグループ手法の先達とも言える存在でもあります。
なお2013〜2021年には第二期東京パフォーマンスドールの活動もありましたが、残念ながらこれも一般的な認知を得るところまで行けなかった気がします。

さて、東京パフォーマンスドールの中でも、EAST END×YURIでのラッパーとしての活動をしたりと、クラブシーンで注目を浴びたのが市井由理でした。

東京パフォーマンスドール時代にもソロアルバムを一枚リリース(1993年リリースの『YURI from Tokyo Performance Doll』)はしていたものの、EAST END×YURIの活動が一段落した後、ソロシンガーとしての活動に着手したのが1996年の『JOYHOLIC』。これが超傑作のガールポップなのでありました!

その先行シングルとなったのがかの小泉今日子が作詞、故・朝本浩文の作曲、アレンジ、プロデュースによる「恋がしたかった」https://www.youtube.com/watch?v=o64F_6xataA)。

朝本浩文による洗練されたヒップなアレンジと、市井由理によるスイートな歌声に衝撃を受けたリアルタイム世代のポップファンは多かったはず(同じKyon2&朝本浩文布陣では「優しいトーン」も!)!
まだ渋谷系ブームの後味が心地よかった時代で、彼女の親交の深いそっち系のミュージシャンがまるで競っているかのように楽曲提供やプロデュースをしている感がありました。

「サイダービーチは柑橘系」はかせきさいだぁ作詞、ヒックスヴィルの木暮晋也作曲にヒックスヴィルのアレンジだったり、「素敵なベイビー」「雲のように」も木暮晋也作詞作曲だったり、「ピクニック・ラブ」「さよならの秘密」を筆頭に第一期SPANK HAPPYだった菊池成孔が関わっていたりと、ポップファンにはただただびっくりする豪華で抜群の完成度なのでありました。
アルバム冒頭を飾る「ピクニック・ラブ」の清涼感、透明感は今聴いても新鮮です…やはりポップメーカーとしての菊池成孔はすごいとしか言いようがない。

実は『JOYHOLIC』リリースタイミングにおいては、岩澤瞳をフィーチャーした第二期SPANK HAPPY(こちらもサブスク解禁が話題となっております! かの歴史的名曲「普通の恋」もSPANK HAPPY名義で解禁!)が始動していたので当時としては謎だったのですが、『JOYHOLIC』は3年がかりで作られたアルバムだったと後で知ったのです。
EAST END×YURIのヒットによりリリースタイミングが狂ったのは吉だったのか凶だったのか…難しいところですね。

ちなみにこの後、1997年にミニアルバム『furniture』をリリースして彼女は活動休止してしまうのは惜しかった。『furniture』も非常に彼女らしいクラブミュージック的なアレンジのポップで素晴らしい仕上がりだったのですが…。

第一期東京パフォーマンスドールに関していえば、正直アイドルグループというよりは、ソロシンガーとしての個々の方が非常にポテンシャルを発揮していた部分があって、ポップファンの方は各ソロ楽曲の方が好きなんだよなーという人は多いはずです。どうしてそんな評価になってしまったかは実に不思議なところではありますが、グループのソロ作品にも音楽的に尽力する姿勢っていうのは僕からするとEPICイズム。

東京パフォーマンスドール以前だとEPIC在籍のいわゆるアイドルって当時は渡辺満里奈くらいのものだったのですが(もっと前だと藤原理恵だったりもいますがそれはまた別の機会に)、渡辺満里奈もリリースするごとに音楽性が高くなっていきました。
この当時のアイドルものってそもそもサウンドの出来がチープだったものが多いのですが(またそれが時代性でもあり良かったりもするのですが)、満里奈も東京パフォーマンスドールの一連のソロも結果的に音楽的に一線を目指していくところがよかったし、そこにEPICイズムを感じていた僕です。

「恋がしたかった」(完全生産限定盤) はすぐにプレミア化!? ぜひご予約を!

今回の初アナログ盤化、ソニー・ミュージックレーベルズ レガシープラスの“GREAT TRACKS”には当時のEPICのスタッフもいたりするのでそこはわかるのですが、かのWebサイトのナタリーとタッグを組んでいるそうで、ナタリーに僕と同じような音楽趣味の人がいるのか!というのは驚きであります…同世代なのかな。クリアイエローのビニールレコードでのリイシューというのも可愛いですね。

4月3日(水)リリースですがすぐにプレミアがつきそうなので予約した方が賢明かもしれません…。

ちなみにB面は先述のヒックスヴィルがプロデュースした「雲のように」です。
現在は一線を退いている市井由理ですが、これを機にシンガー市井由理としての活動を再開してくれたらなというのが僕の願いなんDA.YO.NE。というか、『JOYHOLIC』や『furniture』自体をアナログLPで欲しいというポップファンも多いと思うのでゆくゆくは期待したいところです。

恋がしたかった
Listen to content by 市井由理.

 

 

Newsディスクレビュー北村和孝の音楽エッセイ「楽興のとき」新譜情報総論EPIC・ソニー邦楽
シェアする
投稿者
北村和孝

埼玉県西川口出身、現在も在住 (あるいは西新宿の職場に籠城)。
元はSSW志望だが90年代後半にrhythmagicを立ち上げて鍵盤やギターもプレイ。
新宿ヘッドパワーを拠点にバンド活動やイベント企画も2010年代まで行なっていた。
大東文化大学卒業後、音楽雑誌Playerに入社。2018年より編集長に。
『高見沢俊彦Guitar Collection 500』『高崎晃Guitar Collection』などの大型写真集、
まるまる1冊女性ミュージシャンで構成した『魅惑のMuses』などの別冊も手がけた。
惜しくも2023年7月で音楽雑誌Playerが休刊となり、フリーの編集者として再スタート。
自ら撮影、取材、インタビュー、執筆するDIYスタイルで洋邦問わず80〜90年代ロックを主体に、
ジャズ/フュージョン、ラジオ、サブカル関連を日々追い続ける。銭湯も趣味。
2024年早々、敗血症ショックで救急搬送されてご迷惑をおかけしましたが回復しつつあります!もう大丈夫!

北村和孝をフォローする
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました