このページでは、イベント前に行なった
Sofar Sounds Tokyo キュレーター
アイナさんへのインタビューをお届けします!
Sofar Soundsの魅力、日本での活動、
そしてローカルアーティストを
支援する想いについて伺いました。
Sofar Sounds Tokyo キュレーター アイナさんインタビュー
──Sofar Soundsは2009年にロンドンで始まったそうですが、誰がどのようなきっかけで始めたのでしょうか?
イギリスでRafe Offerさんが立ち上げました。
彼はそれまでにいろいろなライブに行ってきましたが、音が大きすぎて、あまり音楽を楽しめないということで、落ち着いた空間で、もっと密接にアーティストと直接コミュニケーションを取れる場を作りたいという想いから始まりました。
もともとRafeさんが広いお家に住んでいて、そこにアーティストと何人かの観客を呼んで始まったのがSofar Soundsの始まりだそうです。
できるだけ音楽と近い環境を作りたいということから、今でもアンプラグドで演奏することが多く、あまりPAなどの機材を使わずにアカペラや楽器の生音をそのまま聴くというのがポイントです。
──現在は会場が世界中に広がっていますが、幾つくらいの都市でライブが行われたのでしょうか?
アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、南米など、世界中の400箇所以上の都市で行われています。世界各地にキュレーターがいて、それぞれが企画して毎月50個箇所くらいの会場でイベントを開催しています。
──これまでに、特に印象的だったイベントを教えて下さい。
Sofar Soundsは住宅から始まりましたが、いろいろな珍しいスペースでも開催していて、スコットランドの一番北で、何もない山の中でライブをしたことがあります。
それは日本のNTTのようなO2という大きな通信事業者と一緒に行ったものです。
──それは電源を使わないイベントでしたか?
電源は使いましたが、“こんなところにも電波が通じます”という通信会社のアピールにもなりましたし、アーティストとオーディエンスの双方がすごく新鮮な体験ができました。
──Sofar Soundsがここまで多くの人々に広がった理由は何だと思いますか?
大きな街でも人と人の繋がりが希薄になっている時代の中で、世の中がどんどんインターネットで繋がっていったように、音楽を楽しむ人同志でコミュニティを作ることができるので、リピーターさんが多いということでしょう。
基本的なフォーマットとしては、3組のアーティストが短めなセットでパフォーマンスをしますが、事前に誰が出演するかわからないということで、新鮮で新しい発見ができるということもあって、共感しやすいというのが大きな理由ではないでしょうか。
──Sofar Soundsにとって日本はどんな位置づけの市場でしょうか?
東京は本当に大きな都市なので、いろいろなイベントがあって、何でもできるように思えます。
しかし場合によっては逆に人との繋がりを作るのが難しいこともありますよね。
私も音楽が好きで、アーティストをサポートしたいと思っています。
日本でSofar Soundsを知って、これまであまり東京で開催されていなかったのは残念だなと思っていました。
東京でもリラックスして、人と話しながら音楽を楽しめる場を作りたいということで始めました。
Sofar Soundsはグローバルなブランドではありますが、その国の雰囲気や、やり方に合わせて行っています。
海外のイベントが東京でそのまま行われるというよりも、東京ならではのスタイルで行いたいと思っています。
またそうすることで、少しでも日本のカフェの市場を盛り上げることにもなるのかなと思っています。
──Sofar Soundsのキュレーターになろうと思ったきっかけは、東京にそういうシステムがなかったというところからでしょうか?
はい。こんなに素敵なイベントは東京でもきっと話題になるだろうなと思って。
今は私がメインですが、もう1人SNS運営やショーのMCをやってくれている方がいて、どんどんネットワークを広げていけたらなと思います。
──日本に来る前に、Sofar Soundsをご覧になりましたか?
それまではイベント自体に参加したことはなくて、ネット上で観ていました。
東京では2025年の1月頃から活動を始めたのですが、6月にイギリスに出張で行くことがあったので、そこでちょうどSofar Soundsのイベントがあり、そこで初めて体験してすごく楽しかったです。
その時に主演したアーティストは、1人はボーカルだけ、もう1人はビートボックス、そして3人目は南アフリカからヨーロッパのツアーをしていたシンガーソングライターでしたが、とても楽しい時間でした。
それが初めて私が参加したSofar Soundsのイベントです。
──日本のリスナーや会場環境は、海外と比べてどんな特徴がありますか?
MCがその場の雰囲気作りをするのが、Sofar Soundsの大きなポイントです。
MCがリスナーと話しながら、アーティストを紹介して、少しインタビューをするんです。
パフォーマンスが終わって、“この曲はどういう風に考えて作ったのか?”とか、音楽についてお話を聞いて。
そしてリスナーからも質問をしてもらう時間が少しあります。
日本のオーディエンスはあまり質問をしないかなと少し心配していましたが、前回は日本語でも英語でもみんな積極的に質問してくれました。
日本のオーディエンスはすごく真面目で、出演したアーティストをしっかりリスペクトしてくださって、ルールを守っているように感じました。
──今回は日本橋のB by The Brooklyn Breweryでの開催ですが、会場選びの決め手や、Sofar Soundsらしいポイントは?
最初は本当にネットワークもなくて、知人からの紹介に頼っていました。
今回の会場となったB by The Brooklyn Breweryは他の音楽イベントで知り合った方が紹介してくださいました。
店長さんがすごく気さくで、“こういうイベントをしたいんですけどいかがですか”と企画をご相談した時に、“好きなようにやっていいですよ”と受け入れてくれました。
──今回のイベントは何人のキャパを予定していますか?
50~60人ぐらいは座れる場所です。クラフトビール屋さんで、一見普段は普通のレストランのようですが、ミニステージがあって、そこでライブを行います。
──そこはイベントやライブができるようなスペースなのですか?
そうです。柱があったりはしますが。ちなみに前回は三軒茶屋のspace orbitさんというお店でした。
キャパは30~35人くらい、床に座っての観覧で、やはりちょっとしたステージがあるところでした。
──今回の出演アーティストはどうやって選ばれましたか?
自分のネットワークを使ったり、自分が実際にライブを観に行ってすごく素敵なパフォーマンスだった人に声をかけました。
3組ともアコースティックな、落ち着いて楽しめるような音楽ですが、全てのアーティストが同じようなタイプではなく、それぞれやろうとしてることが異なっていて、いろいろな人が楽しめることを考えました。
──海外では、Sofar Soundsに出演したということで、それがブレイクする一つのきっかけになったり、人気が出たりするアーティストもいると聞きましたが、日本はいかがですか?
そういうことがあったらすごく嬉しいと思います。Sofar SoundsのYouTubeは140万人以上の登録者がいます。
そこに動画を載せることで世界中に広がるので、ぜひ我々のブランドを使ってもらえればと思っています。
──まだ無名であっても良い音楽をやっているアーティストはたくさんいるので、そういう人たちを見つけてもらえる1つのきっかけになるというのは、素晴らしいですね。
音楽のジャンルとしては、その場に合うようなものだけになりますか?例えば激しいロックとかは難しいでしょうか?
住宅のような、くつろげる場所というのが基本的なフォーマットなので。
今のところ激しいロックなどは難しいですね。
大きな音を出せる場所が必要でもあるので。
──今後、Sofar Sounds Tokyoをどんなイベントに育てていきたいですか?
あまり大きく、何百人が参加するイベントにすることは想像していなくて。
できるだけローカルなアーティストさんを呼んで、人が繋がれるような場所を作りたいなと思います。
本レポートのきっかけ
本レポートのきっかけは、『バディットマガジン電子ばん!』でコラムを連載中の飯村学史(いいむら・たかふみ)氏が、カリフォルニアで偶然立ち会った Sofar Sounds のライブ体験にあります。
その質の高さに強い印象を受けた飯村氏は、Sofar Sounds のグローバル・コミュニティを率いるチャイナ・ブラッキーン氏への取材を実施。
そこから東京開催の存在が明らかになり、今回の取材とレポートへとつながりました。
(ライブの様子、インタビュー記事はこちら。前編 / 後編)
本イベントレポートの実現にあたり、この機会をつないでくださった飯村学史氏に、心より感謝を申し上げます。






