Thing of remain 〜Part.5〜

オルセン姉妹の”The Row”の新作コレクション見ました?
ゴリゴリのタイトフィッティングでしたね。
ここ5年間くらい続いたビッグシルエットの終焉を匂わせます。
って言っても日本人は体型の問題もあるので、二分化しそうですけど。
(The Rowのジャケットって日本製なんですね、日本のクリエイションすげー)

時事ネタはさておき、ファッションってざっくり分けてドレスとカジュアルがあるじゃないですか。
10代におけるファッションがカジュアル10:ドレス0だとすると、年々その比率を変えていったほうがいいと思うんですよね。
例えば大人カジュアル10の例だと、おじさんがヨレヨレなジャージのセットアップに右手には”氷結”でふらふら歩いていると、あまり見栄えは良くないじゃないですか。堅気に見えずらいというか。
僕も60歳くらいまで生きてたらカジュアル1:ドレス9くらいの格好を心掛けて、ドーメル生地のジャケットでも着たいと思います。
ということでドレスアイテムの代名詞、バサっと羽織るだけ様になるアイテムのジャケット。
僕のお気に入りジャケットについて語ります。

Thing of remain 〜Part.5〜


〜Paul Harnden Men’s Brazer〜
有名どころですがやっぱり良い物良いよね。そんな気分です。
これぱっと見は普通のジャケットなんですよね。
ただ、実際のツラを見ると全体を纏う空気感が唯一無二な感じがありますし、部屋に飾ってあるだけでも絵になる美術品感もあります。
Paul Harndenって所謂アルチザンってカテゴリだと思うんですが、僕にとってはクラシックな存在で、なんと言うかずっと変わらない存在みたいな感じでしょうか。
絶対にインターネットに情報を晒さない、通販もオフィシャルでは禁止のブランドの元祖だと思います。
このトレンドガン無視というか、変わらない物造りの姿勢を川久保玲氏が好んで、ドーバーに取り扱いがずっとあるのも凄いですよね。
(ロンドンのドーバーでは売り場の世界観も凄かったです。)

アルチザンってワードを久しぶりに聞いたって人も多いと思いますが、昨今はアルチザンってカテゴリって全く流行ってないですよね。
でも根強いファンは一定数ずっといるっていう、地下アイドルみたいな存在でしょうか。
僕も10年前ほど前に散々どハマりしました。
あの頃はElena DawsonやGreg Laurenとか着ていましたし、今は無き伝説的ショップAの影響を強く受けていましたね。

Paul Harndenはイギリスのブライトンのアトリエで制作されています。

ではディテールを見ていきましょう。
この全体に入っているシワ感は狙ってできるものではなくて、製品にしてから丸ごと水洗いしています。
その際に裏地との差分で縮みが生じ、裏地に表地が引っ張られてこの独特のシワ感になります。
ウール100%とか生地によってはめちゃくちゃ小さくなるので、ギャンブル感満載なのが面白い。
SよりもLが小さいなんてのはありがちなので、購入の際は試着がマストです。
この無茶な製品洗いは100年前のドブクロス織機という古い機械でゆっくり織られる、めちゃんこ良い生地だからこそ成立するのだと思います。
高級生地だから許される所業、そんな感じでしょうか。
裏地はコットンの総裏でゴワッとしているのでぶっちゃけ肌触りは良くないですが、Paulらしいディテールの一つですね。
裏地は普通はポリエステルやナイロンだと思うのですが、化繊を頑なに使わないのも”らしい”ですよね。
襟はピークドラペルの4つボタンのうち、下2つのボタンは飾りです。
っていうのも裾に向かって湾曲しているフロントパターンで、19世紀前半のジャケットの作りと同じパターンなんですよね。
サックコートとか近い形だと思います。
僕のやつは生地がヘリンボーン織りのウール50%リネン50%の混紡なんですが、1シーズン毎に生地が変わるので気に入った生地を再度探すのが大変なんですよね。。
他にもリネンからツイードまで色々ありますが、ツイードタイプはアイルランドとか極寒地で着用する前提のようなめちゃくちゃ分厚くて重い生地なので、日本だとかなり限定的な時期にしか着れないので、混紡生地のやつが使いやすいと思います。

襟を立てても良い感じ

Paulは過去にDerbysherというモデルを所有していましたが、そちらはウエストの絞りがないAライン感が強いのでより現在的なシルエットな気がします。
(サイズが今の気分ではやや小さくて手放してしまいましたが。。)
他にも20代の頃はMac coatやシャツも所有していましたが、飽きて手放してしまいました。
でも結局ここに戻ってくるんですよね、まるで実家。
今さらPaul?って思うかもしれませんが、僕にとっては501と同じなんですよね。
時代と共に付き合いかたを変えていくみたいな。

これがDerbysher こちらの方がラペルが小さい

デザインソースはドイツ系移民のアーミッシュや古いイギリスのワークウェア辺りから来ており、古着との相性も抜群なんですよ。
但しユーロ物と合わせちゃうとややコスプレ感が出ちゃいますし、これにGUIDIとか他のアルチザンやACRONYMとかのテック系合わせちゃうと、絶滅危惧種(アフリカ象的な)になっちゃいますね。2000年初頭みたいな。
(外国人が上記のスタイリングをするとめちゃくちゃカッコいいんですけどね^^;)
僕はアメリカ物で合わせたいですね。デニムにスウェットとか。
出来るだけPaul Harndenらしくないアイテムと合わせるのが、日本人に合う付き合い方な気がします。
本当に普通に着る感じで、アルチザン色を消すというか。
そんな感じでお気に入りのジャケットのご紹介でした。

春は90sのふざけたTシャツと合わせる予定

衣食住
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投稿者

1988年生まれ、和歌山県出身。
以前は大手小売業やアパレル業に従事。
洋服と旅が大好きで、今まで行った国は25カ国ほど。
ファッション、アート、映画、旅行のコラムや情報などを呟きます。

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