千年コメッツの復活前夜祭とは…!?

復活!高鍋千年

昨年行なわれた、斎藤洸のソロプロジェクトSNARE COVERのライブのサポートで、カルメン・マキ&OZのリズム隊である川上シゲ&武田チャッピー治、さらに長井ちえも参加と、

かつての千年コメッツのメンバーがほぼ揃うのか!

とその際のプレスリリースを見て驚いたものだが、デビュー当時千年コメッツのプロデューサーであり、その後のLUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETSまで携わっていたHarry Yoshidaに、

その際に高鍋千年がゲストで歌った

と聞いた時には大変驚いた。
結果的にはそれが千年コメッツ再始動の布石になったわけである。

謎のバンド「千年コメッツ」とは

さて、千年コメッツ…アラフィフ世代には懐かしい名前だろうが、僕自身にとっても長年謎のバンドでもあった。
TMネットワークや松岡英明、PSY・S、GRASS VALLEYなどシンセの入った先駆的なバンドが好きだった僕にとって、CBSソニーからデビューした千年コメッツもやはり重要なバンドだった。

が、先述のバンドに比べるとなかなか満足のいくインタビュー記事なども当時読めなかった気がするし(単に僕が見逃していただけかもしれないが)、圧倒的にデータが少なかったのである。

映画監督・林海象がMVの撮影を手掛けるなど、アートワーク然りもちろんそのサウンドも圧倒的なクオリティであり、物凄い予算をかけて当時のCBSソニーが売り出していたのが千年コメッツだった。

こうしたヴィジュアル戦略も凄まじかったのだが、何せ川上シゲ&武田チャッピー治の敏腕リズム隊が支えるバンドサウンドだけあり、もう音の方も圧倒的! さらに高鍋千年唯一無二のスイートハスキー・ハイトーンヴォーカルが秀逸だった。こんな声の人は他にいない。

名盤! 1stアルバム『Timeless Garden』

屈指の名作デビューアルバム『Timeless Garden』。もうデビューから圧倒的な完成度だった。今聴いても時代が追いついてない。

名盤と名高い1stアルバム『Timeless Garden』西平彰がサウンドプロデュース。サポートギタリストKAZ高橋に加えて、ゲストギタリストでいまみちともたか(BARBEE BOYS)、春日博文(カルメン・マキ&OZ、NOIZ)、長田TACO和承(オリジナル・ザ・ディラン)、布袋寅泰花田裕之安田裕美が参加 ! っていう豪華さでも話題となった。

アコギによる導入部からの溝口肇によるストリングセクションに発展する「Silent Rain」から「SCORPIO」へ。スクエアなリズムパターンにエッジの効いたギタープレイ、シンセフレーズが重なるアッパーチューンだが、ところがこの「SCORPIO」は終盤で音がブチ切れるように終わり、2ndシングルの「ACCESS IN ACCESS」へ…と、もう1stアルバムとは思えない大胆さとコンセプチュアルさが見事だった。

デビューシングルも印象的

BOΦWYと同じユイ音楽工房所属だったことから実現したであろう、デビューシングル「Lonely Dancer」「LUNACY」における布袋寅泰のギタープレイも印象的だった。
B面の「傷-I’m gonna’ break you」「黄昏のJazz」のキャッチーながらも、どう聴いても普通じゃないリズムアレンジと圧倒的プレイにも驚かされる。

「LUNACY」の歌詞をシンガーソングライター長谷川孝水が手がけていたのも驚きだった。少し前に唯一のアルバム『日々の泡』がアナログレコードでリイシューされたのも記憶に新しい。

「檻の中のカタルシス」においてはシンセと時計の秒針を模したリズムメイキングだったりと、バンド形態でありながらも決してそこにこだわらない自由な音作りも魅力だった。

高鍋千年のイメージする音世界をみんなで具現化するというスタイルは、高鍋千年のソロプロジェクトとなったLUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETSに至るまで貫かれている。

2ndアルバム『ノスタルジア』

『Timeless Garden』からわずか8ヶ月で2ndアルバム『ノスタルジア』がリリースされるのだが、高鍋千年、CHIE、川上シゲ、CHAPPY、海老ヨシヒロという初期バンド編成においての最高傑作と称するファンも多い。

冒頭「WELCOME TO MY GARDEN-ガーデンテラスに青い鳥」は前作同様のスケール感たっぷりのオープニング曲で、ケルティックなイントロから一転のシンセオーケストレーション、そしてタフな8ビートナンバーへ展開されるほぼ7分の大作だった。

続く「甘い生活」の耽美的な味わいも印象的で、CHIEのソウルフルなヴォーカルも魅力となっていた。高鍋千年とCHIEの男女ヴォーカル双方が聴きどころっていうのも、この当時のバンドではなかなかなかったパターン。

「恋のショートストッパー」におけるCHAPPYのリムショット主体のドラミングも痛快だったし、KAZ高橋のギターだけでジャジーに高鍋千年が歌いあげる「Shell Song」など、幅広いアレンジとその冒険心はちょっと同世代のバンドの中では抜きん出たものがあったと思う。

ちなみに『ノスタルジア』では3rdシングルとなった「Dilemma」が最高傑作っていうファンも多いだろう。川上シゲ、CHAPPYの超絶リズム隊のプレイはいつ聴いても痺れる。

節目となる3rdアルバム『the edge』

バンド編成としての千年コメッツは3rdアルバム『the edge』が節目となってしまう。

元サディスティックミカバンド〜サディスティックスの今井裕がサウンドプロデュース。
4thシングルとなった「流星一夜」筆頭に、千年コメッツではやや珍しいリズム&ブルーススタイルのバンドグルーヴが圧巻の「STAND UP」、変則レゲエ的なリズムアレンジの「火曜日のフィナーレ」、シューゲイザー的なギターオーケストレーションの「世界が泣いている」など、より一層サウンド面を深化させた『the edge』も実に聴き応えのある一枚だった。リズムレスアレンジのラストナンバー「夢と宝石」に至るまで、全くと言って駄作がないのである。

ここまで1986年でデビューしてわずか2年余りである。驚くほどにあっという間に千年コメッツは進化してしまった。

なお長井ちえは1988年にTHE PEPPER BOYSに「君が心配」を楽曲提供。その後の2ndアルバム『PLEASE』にも「負けないヒロイン」を書いている。なおこの「負けないヒロイン」では谷村有美がコーラスで参加。

以前CHIEさんにお会いできた時に、ペッパーボーイズのファンだったことを伝えたら非常に驚いていた。「あの子たち(ペッパーボーイズのメンバー)が聞いたら喜ぶよ!」と。

楽器隊メンバーが個々の活動に入っていく中、高鍋千年はソロプロジェクトとしてLUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETSを始動する。

ソロプロジェクト “LUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETS”

時代は1990年代へ。
海外ではマンチェスターサウンドだったりインディロックが台頭し、やがてはグランジ、オルタナ、ローファイカルチャーの波が日本にも届く時代。

ソロプロジェクトとして高鍋千年により徹底的に作り込まれたLUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETS『The Mode Of Life』のサウンドは、打ち込みも多用しつつも不思議と千年コメッツのかのバンドサウンドと並べて聴いても違和感のない音だった。
「Just One Day」の弾んだポップテイストも新鮮だったし、「Velvet Dream」のバカボン鈴木のフレットレスベースをフィーチャーしたJAPAN路線も秀逸だった。渡辺等のアップライトベースなどオーケストレーションによる「Voice Of Sky」も、千年コメッツ時代のアプローチを引き継いでいた。

「Michael」もデジタルディレイを駆使した千年コメッツならではの空間系ギターサウンドとアコースティックギターのストロークが連なる定番アレンジの楽曲だ。もうちょい待てば渋谷系ギターポップの全盛期だったわけだが、惜しくもLUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETS は乗り逃したのである。もっとも『The Mode Of Life』のSFなジャケットイメージなど、全く渋谷系とはかけ離れていたが(笑)。

そしていわゆるヴィジュアル系も台頭してくる時代でもあったが、そのブームよりもちょこっとだけLUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETSは早かった…ゆえにその恩恵にも預かれず。

ようは全てにおいて早過ぎて、世の中が気づく前に千年コメッツはその歩みを止めてしまったのだ。あともう何年もすればデジデザイン・プロツールスによるホームレコーディング時代がきたわけだし、バンドスタイルの千年コメッツはともかくとして、LUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETSとしての制作スタイルを確立できたかもしれないのだが…あまりにも惜しい。

この後、高鍋千年は千年コメッツで未レコーディングだったものも含めて新曲制作に着手、僕はてっきりソロアルバムがリリースされるのかと思って長年待っていたのだが結局立ち消えになってしまった。

LUNATIC ORCHESTRA SENNEN COMETS 唯一のアルバム「The Mode Of Life」 名作なんだけれどなぁ…。サブスク解禁を求めたい。

そして現在、千年コメッツ奇跡の復活!?

そして話は冒頭に戻る。

Harry Yoshidaの千年コメッツを再始動させたいという想いがメンバーの気持ちをも動かし、遂には高鍋千年の心をも動かしたってことなんだと思う。

千年COMETSがなんと40年の時を経て蘇るというニュースが流れた時にはまさかと思ったが、実はバディットマガジンでは高鍋千年のインタビュー取材を実現。活動再開の気持ちを語っていただくことができた。

面白いのは今回の復活ライブは

“奇跡の復活前夜祭”

と謳われていることにある。
ってことはこの先があるということか…?

いずれにせよ3月末に原宿クロコダイルで行われる、久々の千年コメッツとしてのライブ、なんとかこの目に焼き付けたいと思うのだ。

必見!!『復活前夜祭』の内容とは!?

復活前夜祭の内容だが、SNARE COVERが企てたかたちの豪華三部構成のライブとなる予定。

第一部はなんと林海象監督が登壇、当時手がけた千年コメッツのミュージックビデオ3部作について語ると共に映像も披露。

そして第二部、SNARE COVER With Special Bandによるライブ。武田チャッピー治川上シゲがリズム隊を手掛ける。

チャッピー

川上シゲ

さらに第三部で千年コメッツによるライブが繰り広げられるのだ。高鍋千年、CHIE、川上シゲ、CHAPPYのほか、SNARE COVER With Special Band同様に鍵盤で梅野渚、フルートやサックス、アコースティックギターでHarry Yoshidaが参加する。さらにスペシャルゲストも予定されているようだ。

長井ちえ

千年コメッツのあの圧倒的なバンドアンサンブルは
今どのように再現されるのか!?

なお先述の通り、バディットマガジンでは近々高鍋千年のインタビュー記事をお送りするので乞うご期待!

イベント情報

伝説のスーパーバンド 千年COMETS 奇跡の復活前夜祭 Presented by SNARE COVER

2024年3月31日(日)
会場:原宿CROCODILE
18時開場 19時開演
前売り券 4,500円 / 当日券 5,000円
※ご飲食代は別途になります

詳細・ご予約フォームはコチラ↓

伝説のスーパーバンド 千年COMETS 奇跡の復活前夜祭 Presented by SNARE COVER | 原宿クロコダイル

Newsコンサート・ライヴ情報北村和孝の音楽エッセイ「楽興のとき」邦楽音楽
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投稿者
北村和孝

埼玉県西川口出身、現在も在住 (あるいは西新宿の職場に籠城)。
元はSSW志望だが90年代後半にrhythmagicを立ち上げて鍵盤やギターもプレイ。
新宿ヘッドパワーを拠点にバンド活動やイベント企画も2010年代まで行なっていた。
大東文化大学卒業後、音楽雑誌Playerに入社。2018年より編集長に。
『高見沢俊彦Guitar Collection 500』『高崎晃Guitar Collection』などの大型写真集、
まるまる1冊女性ミュージシャンで構成した『魅惑のMuses』などの別冊も手がけた。
惜しくも2023年7月で音楽雑誌Playerが休刊となり、フリーの編集者として再スタート。
自ら撮影、取材、インタビュー、執筆するDIYスタイルで洋邦問わず80〜90年代ロックを主体に、
ジャズ/フュージョン、ラジオ、サブカル関連を日々追い続ける。銭湯も趣味。
2024年早々、敗血症ショックで救急搬送されてご迷惑をおかけしましたが回復しつつあります!もう大丈夫!

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