谷村有美「Tonight / HALF MOON」が祝7inch化!

谷村有美さん

昨年デビュー35周年を迎えて、一連のMVが
オフィシャルYouTubeチャンネルで公開されるなど、
ここにきて再評価が高まっているシンガーソングライター谷村有美
ソニー・ミュージックレーベルズのオーダーメイド・ヴァイナルの企画で、
谷村有美の名バラード「Tonight / HALF MOON」
カップリングによる7inchシングルレコード化がエントリー。
購買者の予約数次第で実現する流れとなっていたが…
そんなものはっきり言って超余裕と思っていたのだが…
このたび見事製品化が決定!
谷村有美の7inchシングルはおそらく「BOY FRIEND」以来のはず
(ゆうせん放送用サンプルでの「明日の恋に投げKiss」がラスト?)。

谷村有美の魅力とは

僕が有美さんの存在を知ったのは当時TBSテレビ
早朝番組だった「ドーナツ6」
当時は朝5:30からウルトラマンシリーズの再放送を
やっていて観ていたのですが、その流れで始まった
「ドーナツ6」はいわゆる若者向けカルチャー番組でした。

とはいえ、早朝からジョージ・ハリスン
「セット・オン・ユー」イーグルス
「ホテル・カリフォルニア」のビデオを流すような番組は珍しく、
しかも藤谷譲二(CAPTAIN GEORGE〜ケビン・クローン)
石黒賢KAN久保田洋司(THE 東南西北)
柴田裕行(THE PEPPER BOYS)松下由樹田中律子
その後TBSラジオ「東京レディオクラブ」で一世風靡する岸谷五朗ら、
ブレイク前のミュージシャンや俳優らが毎日続々登場する
番組で釘付けとなりました。当初のオープニングテーマは
THE PEPPER BOYS「君が心配」で、
エンディングテーマだったのが谷村有美の「NOT FOR SALE」
この2枚は当時なんて良い曲だろう!と思って予約して買いました。
ドーナツ6はファンクラブにも入っていたし、
イベントも行ったし(有美さんがステッカー2枚くれたの今も持っている笑)、
最終回は日比谷シャンテの生放送を観に行きましたっけ。

当時の有美ファンは、彼女自身のソングライティングによる
楽曲が増えることを楽しみにしていました。
2ndアルバム『Face』収録の「Tonight」
作詞はあさくらせいらさんと有美さんの共作でしたが、
作曲は有美さんで初期を代表する名バラードとして
ファンに浸透しています。
日清パワーステーションのライブの時、
「Tonight」のイントロでつまづいたんじゃなかったけかな?
そういうのでもファンには思い出深い曲です。
レコーディング音源では有美さんのロングトーンが
いつの間にかサックスソロに変わっているという
あのシーン変遷も聴きどころでありました。
アレンジは亡くなってしまった名ベーシストの
有賀啓雄さんでした。
さて、その『Face』にはちょっとそれまで
聴いたことがないタイプの不思議な曲が入っていたのです。
それが「朝は朝、嘘は嘘」

谷村有美の"朝は朝 嘘は嘘"
谷村有美の"朝は朝 嘘は嘘"をApple Musicで聴こう。1988年年。時間:5:04

そういやブランチなんて言葉の意味も僕は
「朝は朝、嘘は嘘」で知ったのでした。
楽曲のクオリティもさることながら、
アレンジだったりコード進行が実に衝撃的だったのです。
そしてこの曲のギターソロで聴こえる音は
実はシンセソロだったりします…
その作曲、アレンジを手がけていたのが、
コンポーザーとしても著名な岩田雅之
初代シンガーで藤原美穂が在籍していたことで知られる
ポップユニットPAZZのキーボード奏者だった、西脇辰弥
PAZZの存在は先述のTHE PEPPER BOYSに岩田雅之が
楽曲提供していたことで僕は知るのです。
後にTHE PEPPER BOYSの「負けないヒロイン」
有美さんがコーラス参加するのですが、
これらを手がけていたのが当時ソニーのディレクターだった
横内伸吾さんでありました。
今でこそ一つの線に繋がっていたことがわかるわけですが。

西脇辰弥との名コラボレーション!

続く3rdアルバム『Hear』においても、
当時CMソングであった先行シングル「がんばれブロークン・ハート」
まずハートを射抜かれることになります。
(ビデオが超可愛い…子猫といいあざとさも全開…)
思わせぶりな楽曲タイトルなのに
“なんだこのシンセベースがぶっといファンキーな楽曲は!”と。
フツーそうで全然フツーじゃないのを作り上げる
西脇辰弥とは何者だ!?と有美ファンだったり
当時の先物買いポップファンはとてつもないショックを受けたのであります。

『Hear』では吉田美奈子「頬に夜の灯」
オマージュたっぷりの「傘をもってでかけよう」
相当ショッキングでした。
(さらにショッキングだったのは後の吉田美奈子バンドに
西脇辰弥が参加することになること!)
そういえばイベントなど以外で、いわゆる谷村有美の
ライブをようやく僕が初めて観られたのはこの時期で、
どこの大学だったか忘れちゃったけれど学園祭で観られました。
「NOT FOR SALE」はやってくれないのかーと
ちょっと残念だったことを憶えています。
「HELP」「2人はいきなり」で盛り上がった!

谷村有美の"HALF MOON"
谷村有美の"HALF MOON"をApple Musicで聴こう。1989年年。時間:5:18

『Hear』にはもう一つ重要曲があります。
それが今回7inch化されるバラード「HALF MOON」です。
有美さんの作詞で作曲、編曲は西脇辰弥。
わかる人にはこの曲がアース、ウインド&ファイアー、
エアプレイ〜デイヴィッド・フォスター
のオマージュっていう
ところでもグッとくるわけなのですが、
この作り込まれたボイシングやコード進行、
キメたっぷりのリズムアレンジに衝撃を受けたわけです…
いや、正直書けばもう僕には耳コピできなかった。
ちなみにこの曲もギターソロに聴こえるところは
おそらく西脇さんのシンセソロであるはずです。

谷村有美の"黄昏のシルエット"
谷村有美の"黄昏のシルエット"をApple Musicで聴こう。1990年年。時間:5:26

続く『PRISM』『愛は元気です。』の2作のアルバムは
完全に谷村有美-西脇辰弥コラボレーションにより作られていて、
特に濃厚だった印象があります。谷村有美といえば
この二枚だろうっていうファンもいるくらいです。
『PRISM』のクロスオーバーAOR色はそれまでの3枚と違ったので、
当時高校生の耳には“谷村有美が変わってしまった!”と感じて
最初はとっつきづらかった印象すらあったのですが、
不思議とそういうアルバムを聴き狂って
自分のものにしていくっていうのも音楽の面白さであり、
今となっては谷村有美で一枚選ぶなら
『PRISM』かもっていうくらいにお気に入りのアルバムです。
「黄昏のシルエット」の変態ボッサも壮絶で
これもコード拾えなかったな…
フツーに曲に聞こえるかもしれませんが
転調もリズムアレンジも超絶ファルセットを駆使する歌メロも
とんでもないアイデアだらけ。
ちなみにこのピアノソロは有美さんです。

谷村有美の"どうでもいいの"
谷村有美の"どうでもいいの"をApple Musicで聴こう。1991年年。時間:5:16

『愛は元気です。』でなんだこれは!?となったのは「どうでもいいの」
これも知る人はマンハッタン・トランスファー〜ジェイ・グレイドン
ニンマリするわけですが、生ブラスセクションをフィーチャーした超
絶サウンドがまた凄い。
何回転調しているんだ!?という凄まじいアレンジになっております。
この曲はフルコーラス聴かないとだめです。
歌詞も面白いです。当時僕は高校生でカシオペア
高中正義とかが好きなフュージョン少年でしたが、
フュージョンに歌が載ったらどうなるんだろう?みたいに
思っていた一つの答えが谷村有美-西脇辰弥コラボレーションでした。
ようはChar「Smoky」みたいな曲に出会いたくて
探していたわけですが、“ここにあったか!”っていう。
谷村有美-西脇辰弥コラボはクリスマスアルバム
『White Songs』〜『Docile』
一段落してしまったのが残念でした。
が、やるだけやったのかなって濃密さがあったのも事実です。
ちなみに僕はその後もずっと谷村有美が好きで
『マイ・プレジャー』の渋谷公会堂まで追いかけておりました。
その時犬の着ぐるみを着た方が花束贈呈されていて、
当時はなんだかわからなかったのですが、あああれが今の旦那様だったのかと。

というのはともかく、『マイ・プレジャー』には
谷村有美-西脇辰弥コラボ的なものを狙ったのかな?と
深読みしたくなる曲が一曲入っています。
「フラジャイル」という曲です。
この曲は有美さんの作詞、今井千尋作曲、
加藤道明編曲で全然違うのですが、
どこか「ひとつぶの涙」あたりの感じに繋がる
緊張感があるんですよね…
「フラジャイル」を聴いた時から、
今谷村有美-西脇辰弥コラボをやったらどんな曲ができるんだろう?
というのが僕にはありました。

昭和50年男の記事サンプル

憧れのお二人と奇跡的な出会い!

それから時は過ぎて令和…
雑誌「昭和50年男」のFMラジオ特集で
有美さんが取材されているのを知り、
いいなー僕超ファンなんですよ!と騒いでいたら、
有美さんと西脇さん、当時ディレクターだった
横内伸吾さんとの鼎談取材ができることになりました。
今になってこんなことが叶うのか!?という。
本当に不思議。驚いたのはちゃんとした初対面だった西脇さんが、
何かで書いていた僕のことを存じてくれて、
“いつかお会いすると思っていたんですよ”なんて仰ってくれたこと…
これこそ音楽の神のご褒美だなと。
こんなこと、フツーは起きないですよ。
「昭和50年男」の金丸編集長にもただただ感謝です。
昭和50年男」vol.26の“谷村有美サウンド解析”は
僕によるインタビューなのでぜひ皆様に読んでいただきたいです。
そしてバディットマガジンでも有美さんに取材したい!
『愛は元気です。2』ぜひ実現させましょう。
僕、なんでもやりますので。(北村和孝)

Tonight / HALF MOON  商品情報

谷村有美
Tonight / HALF MOON
7inch/33RPM Vinyl: DQKL-7152 ¥2,090 (tax in)
発売元:ソニー・ミュージックレーベルズ
※Sony Music Shop専売、完全生産限定盤、発売決定

SIDE-1
Tonight (作詞:谷村有美・あさくらせいら、作曲:谷村有美、編曲:有賀啓雄)
SIDE-2
HALF MOON (作詞:谷村有美、作曲・編曲:西脇辰弥)

谷村有美「Tonight/HALF MOON」がアナログ復刻企画「オーダーメイド・ヴァイナル」にエントリー!「私が欲しいレコード」最新回にも登場。恒例のクリスマスライブも開催! | 谷村有美 | ソニーミュージックオフィシャルサイト
ソニーミュージックによる谷村有美公式サイト。谷村有美の最新ニュースやリリース情報、ビデオ、ライブ・イベント出演情報、メディア情報などを掲載。
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