最近、世界的にヴィンテージブームが加熱している。
中でも著しいのは主にアメリカと中国である。
まずアメリカでは若い子を中心にEco Friendlyカルチャーがクールとされており、洋服において新しいモノってなんかダサいよね、古い物を再利用する俺らってイケてるよねって感じで、高いヴィンテージが若者にぽんぽん売れているみたい。
一方の中国は元々、他人が着用した物を着るなんてありえない文化が基本だったので、洋服屋においても店頭に置いてある服は嫌がり、購入する時は「New one」がお馴染みのセリフになっている。
そんな中国でヴィンテージブームが何故起こっているかというと、今や富裕層の子供は海外の学校に留学するのが当たり前である。
それはアメリカ、イギリス、日本と様々だがそこでヴィンテージカルチャーに触れ、古着に対する抵抗が無くなっているので、帰国後も渡航しヴィンテージを買い漁っているらしい。
そんな文化的背景に相まって、円安&物価高騰で買い付け経費も上がり、コロナ前の2019年頃に比べると日本の古着屋でも同じ物が2〜3倍の相場なっている。
僕が欲しい価格帯でいうとデニムパンツは10万円から、スウェット5万円から、ジャケット類は20万円くらいからとなっており、既に気軽に買える価格帯でなくなっている。
Levi’sに至ってはxxだと100万overがデフォの世界なので、富裕層に向けてのコレクタブル品と化している。
僕もお金はないのに、目だけ肥えてしまってレギュラー品では満足出来なくなっているので、この呪いを早く解きたい毎日である。
Thing that remain Part.2
〜30s Railroad Jacket〜
1930年に作られたスタンドカラーのジャケット。
これは数年前に都内の古着屋でデッドストックで購入した物ですが、アメリカのオークションで出品されたものとの事。
当時の鉄道員か鉄道作業員の為に作られた物でしょう。
鉄道員といえば、高倉健の鉄道員(ぽっぽや)を思い出します。
ディテールは清々しいくらいシンプルですが、各部分から歴史的背景が伝わってきます。
まず蒸気機関車の型がとられた僕の好きなチェンジボタン。
これがこのジャケットのポイントで、これがあることで制服として作れられたものというのが判かります。
ボタンを付け替えられるのもいいですよね。
ヒッコリー生地は繊維の構造上はデニムと同じですが、ストライプの柄にする事で汚れが目立ちにくくなり、ワーカーの為に作られた生地と言える。
当時は石炭の黒煙ですぐ服が汚れそうですもんね。
また鉄道員にも何故この生地のジャケットが採用されていたかというと、当時アメリカの鉄道では冷房設備はあったらしいが、恐らく全車両に搭載されていたわけではないので冷房がない車両ではめちゃくちゃ暑かったらしく、少しでも清涼感を出す目的でヒッコリーストライプが使われていたそう。
襟はスタンドカラーなので少しフレンチなテイストも感じられます。
この辺りのワークウェアはまだヨーロッパからのディテールが残っている物が多いですね。
カバーオールのシルエットもAラインで裾広がりなモノはこの年代くらいまでで、のちにボックス型のストンと落ちるシルエットに変わっていくんですよね。
この辺のシルエットは好みが分かれるかもしれませんが、Aラインの方がユーロ感が強いと思います。
袖は太めのセットインスリーブで重ね着もしやすいです。
これは作業着として腕を動かしやすい為だったと想像できます。
購入当初は糊付けされているので硬くゴワッとしていて着心地が悪かったので、お風呂に付けて2回ほどジャブジャブ洗ったところいい感じに柔らかくなりました。
ゴリゴリのアメリカ物で所謂ワークアイテムですが、どこかフレンチなニュアンスも含んでいるので、モテにもラギッドにも走れるアイテムですよね。
今の気分でスタイリングを組むとすれば他は出来るだけ軽くして、バランスを取りたいです。
フランスのモノとかと合わせるとカッコつけすぎな感じが出ちゃうので綺麗めなUS物、例えばベースボールキャップに安いTシャツとかパンツとかの方が抜け感が出て丁度いいかも。
高騰が止まらないデニムのカバーオールと比べると、若干プライスも優しいのも嬉しいポイント。
そこまでヒッコリー素材って世間では人気がないけど、爽やかな着こなしも出来るので女子ウケも悪くないはず。
ぜひ市場で見つけたらマストバイな一品です。