『中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る』開催!

中島みゆきの世界を堪能できる体験空間

中島みゆき初となる大規模展覧会『中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る』角川武蔵野ミュージアムにて4月20日より開催されている。
会場はレコード盤をイメージしたかのような空間演出が施され、昭和・平成・令和とデビューから今日までの活動内容を歩きながら散策できる巨大な「みゆきストリート」を制作、様々な魅力に満ちた中島 みゆきの世界を堪能できる体験空間となっている。

Chapter1

Chapter1では「今も進化を続ける中島みゆきストリート」と題しこれまでの活動年表とともに発表された数々のアルバム、シングル、パンフレット等を展示。書籍に関しては実際に手に取って楽しめる実体験型となっている。
また音楽評論家の田家秀樹氏と音楽監督の瀬尾一三氏の対談や月刊カドカワでの特集記事などが散策路壁面いっぱいに大きくプリントされその迫力にも圧倒される。

Chapter2

Chapter2は「MY FAVORITE SONG」。アーティストたちが一堂に会し中島みゆきの楽曲を披露した「中島みゆきRESPECT LIVE『歌縁』」に登壇した豪華メンバーのネームパネルが飾られている。
そしてそれらにはある仕掛けが施されているのだが、是非とも会場で体験していただきたい。

Chapter3

Chapter3は「レコード万歳」。アナログ・レコード体験コーナー。今までにアナログ盤で発表された中島みゆきのアルバムが飾られた空間でそれらを堪能できる。聴きたい楽曲がある場合はリクエストも受付てくれる。
中島みゆきのアルバムは現在もサブスク解禁されていないのである意味貴重な体験ともいえる。そしてレコードの味わい深いサウンドを大音量で楽しんで欲しい。

Chapter4

Chapter4は「コラボレーション」。映画、ドラマ、CMを通し様々なクリエイターとのコラボレーションを掘り下げていく。

Chapter5

Chapter5は「夜会 言葉の実験劇場」。「夜会」はコンサート、演劇、ミュージカルとも違う中島みゆき本人が原作、脚本、オリジナル楽曲を歌う公演。
この空間には舞台美術担当の堀尾幸男氏による舞台模型、実際に着用した衣装を展示、そして関係者の証言などから夜会の秘密を紐解いていく。

『中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る』 オフィシャル写真

『中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る』 オフィシャル写真

Chapter6

Chapter6は「拝啓みゆき様 あなたからみゆきへ」。思い思いメッセージを自由に記入、「進化樹」を作り上げることによって何か大きな気づきに繋がってゆくかもしれない…。

Chapter7

Chapter7は「言葉の森」。中島みゆきから発せられる珠玉の言葉の数々、その魅力を存分に感じとることができる空間。

そして、この展覧会の来場者のみが購入できるパンフレット『月刊カドカワ 復刻盤 総力特集 中島みゆき展「時代」めぐるめぐるよ時代は巡る」が限定販売される。
過去『月刊カドカワ』で掲載された記事等で構成された特別な書籍で中島みゆきの歴史が堪能できる内容となっている。
(取材・中村 忍)

書名:『月刊カドカワ 復刻盤 総力特集 中島みゆき展「時代」めぐるめぐるよ時代は巡る』
判型:A5判
頁数:216頁
価格: 2,900円(税込)
発行:角川文化振興財団

圧倒的な言葉との対峙

大規模な展覧会としてはほぼ初となるらしい「中島みゆき展「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る」を拝見した。
せっかくの角川武蔵野ミュージアムでの開催であり、なんなら食事だったりお茶を飲んだりということもできる、インスタ映えもいろいろと考えられている(笑)施設なので、できれば半日であるとか長めの時間を持って足を運ぶといいと思う。

この展覧会が中島みゆき愛にあふれるスタッフによる企画なのは言うまでもないが、そもそもが非常にアナログな体験を重視した展示内容だと思った。
というのも、先述のようにChapter1の中島みゆきの年譜からして圧倒的なテキスト量であり、この展覧会の6割はもはや言葉でできていると言ってもいいのではないか。
多彩な歌声と時代を超越する独特なメロディセンス、デビューより第一線のミュージシャン、アレンジャーとともに編まれてきた冒険心あふれるサウンド、数々のビジュアルワークを生み出してきたその美貌、ラジオで見せるユーモアあふれる人柄、それでいて寄せられる葉書の内容によっては真摯な言葉を投げかける親近感、「夜会」などで魅了するエンターテイナー、ストリーテラーとしての抜群の存在感…まさに多彩な才女であるわけだが、その中でも提供楽曲も含めてさまざまな名曲を生んできた作詞による語彙や表現の凄まじさを今一度浴びせられるような展示内容である。

もっともそれは追体験でもいい。中島みゆきについて何かしらの興味があれば、楽曲についてなんの知識がなくてもいい…展示内容が訴えかけてくるような言葉の力から何かしらを感じ取れるだろう。
そしてそのヒントなりイメージを膨らませてくれるものが、手に取れるように置かれた数々の書籍なり、一部の映像なり、雑誌のスクラップ記事集(これはなかなか見られないものかも!)、そして舞台セットを再現、同様に駆動するミニチュアや、展覧会の中央にセッティングされた2着のドレスといった展示物である。
それぞれの展示空間は広めに取られており、展示物にびっしりと書かれたテキストを全部読むのには実は相当な時間を要するが、じっくりと読み進められる配慮も感じた。

ラジオなどを除いてはなかなかメディアに登場しないミステリアスな存在だけに、正直こうした大規模な展覧会を企画するのには苦労もあったとは思うが、思えばインターネット世代ではない僕らアラフィフなどはラジオや雑誌、なによりアナログレコードやカセットテープから中島みゆきの世界に浸っていったのだ。
Chapter3では『グッバイガール』なり、早々にプレミアムアイテムとなってしまった近年リリースのアナログレコードなども含めて、アルバム楽曲をリクエストしてヤマハによる高音質オーディオシステムでリスニングできるスペースも授けられている。
あえて数々のヒットシングルによる7inchレコードではなくて、LPレコードによるアルバムバージョンやアルバム楽曲を聴いてもらいたいというのは、そうと語れているわけではないが企画者による意図だろう。

ベンチに腰掛けながら「蕎麦屋」『生きていてもいいですか』収録)、「傾斜」『寒水魚』収録)、「断崖」『親愛なる者へ』収録)、「あほう鳥」『愛していると云ってくれ』収録)などを拝聴したのは贅沢な時間だった。なかなか今、あの高品質なサウンドで音楽に対峙する機会は意外とないと思う。
そしてChapter7「言葉の森」で展示された歌詞を見て、気になる楽曲をChapter3「レコード万歳」でリクエスト、アナログレコードの音で体験するのにもいい機会のはずだ。
僕ら世代はこうして気になる歌詞のフレーズなり、エピソード、それだけをヒントにその楽曲を探して、アナログレコードやカセットテープ、ラジオでエアチェックなどして聴き込んできたのだ。
今はそれがShazamアプリなどで容易にできる時代にはなったものの、自分の足でお目当ての楽曲に出会えたときの感動は世代や時代を越えるはず。
そうした僕ら世代の音楽体験の素晴らしさが若い世代にも伝わったら嬉しいし、「中島みゆき展「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る」にはそうしたアナログライクな可能性を感じたのである。
(北村和孝)

展覧会概要

展覧会タイトル:中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る
英語タイトル: MIYUKI NAKAJIMA EXHIBITION
会期:2024年4月20日(土)~2024年6月23日(日)
会場:角川武蔵野ミュージアム5階 武蔵野ギャラリー
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン内
営業時間:10:00~18:00(最終入館は17:30まで)
休館日:毎週火曜日(4月30日(火)は臨時開館)*火曜日が祝日の場合は開館
展覧会公式サイト: https://kadcul.com/event/185
主催:角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人 角川文化振興財団)

チケット価格(税込):
オンライン購入( https://tix.kadcul.com/ )、当日窓口購入
一般(大学生以上):2,000円/中高生:1,200円/小学生:1,000円/未就学児:無料

*「1DAYパスポート」「イブニングチケット」では入場できません。
*休館日、開館時間は変更となる場合があります。最新情報、詳細は公式サイトでご確認ください。
*展示内容が変更、または中止になる場合がございます。予めご了承ください。

角川武蔵野ミュージアム」について

©角川武蔵野ミュージアム

図書館、美術館、博物館が融合した文化複合施設。
館長の松岡正剛氏が世界を読み解く9つの文脈に沿って独自の配架をした「ブックストリート」、博物学者の荒俣宏氏が監修する「荒俣ワンダー秘宝館」、「本と遊び、本と交わる」をテーマにした「本棚劇場」、これら「エディットタウン」は当館のメインエリアです。本棚劇場では、360度を取り囲む高さ8mの巨大本棚にプロジェクションマッピングが映し出されます。
また、マンガや多数の出版社のライトノベルが並ぶ「マンガ・ラノベ図書館」や、企画展が開催される「グランドギャラリー」など、松岡館長が提唱する「想像力とアニマに遊ぶミュージアム」として、様々な「まぜまぜ」を提供します。

建築デザイン監修は隈研吾氏、アート部門ディレクターは神野真吾氏。
公式サイト: https://kadcul.com/

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