デビュー40周年のUGUISS…先駆すぎたんだ!

佐橋佳幸(ギター)、柴田俊文(キーボード)、松本淳(ドラムス)、故・山根栄子(ヴォーカル)、伊東暁(キーボード、シンセベース)によるUGUISS

僕がUGUISS(ウグイス)という
バンドを知ったのは高校時代。
EPIC・ソニー黎明期カタログをほぼ初CD化、
解説付きの廉価版でリリースした
BEATFILEシリーズの中で、
当時唯一のアルバムだと思われていた
『UGUISS』が1992年に
リイシューされたことで知ったのである。
佐橋佳幸(ギター)筆頭に
メンバーが渡辺美里のサポートに
携わっていたことでも脚光を浴びていたし、
その余波もあり実際、
UGUISSというバンドが
認知されたのはこれ以後だと思う。

メンバーはご存知佐橋佳幸、
BABY’S BREATHなどでもおなじみ
柴田俊文(キーボード)、
近年はいまみちともたか HIGH TIMEでも
プレイしている松本淳(ドラムス)、
山根麻衣の妹であり残念ながら2012年に
この世を去った山根栄子(ヴォーカル)、
伊東暁(キーボード、シンセベース)の5人組。
1983年にEPICレーベルより
デビューしたので
デビュー40周年に突入している。

デビューシングル
「Sweet Revenge」
タイトルからして痛快だが、
ホットな佐橋佳幸の
ドライヴィンなギターと
柴田俊文のピアノソロ、
もちろん山根栄子の
パワフルなヴォーカルと
メンバーによるコーラスワークも
聴きどころ。
ただし、
オルタナロック台頭の最中の
リイシューで、
1992年当時に聴いたときは
高校生男子には正直古い音に
聴こえたのである…
これが頭でっかちだった10代には
随分と理解に時間を要してしまった。

それはともかく、
2ndシングルになった
「Cause Of Life(夢を抱きしめて)」、
そして「Burnin’City Lights」
渡辺美里のアルバムにも
入っていてもおかしくない
キャッチーさだった。

「I Wanna Be A Superstar」
「Change」はハネまくった
松本淳のドラムビートが強烈だし、
組曲テイストのラストナンバー
「Ball&Chain」なんて
当時の中坊にはスタンダードな
アメリカンロックバンドサウンドに
聴こえていたが、
実際はニューウェーヴィさが
混じっていたりするのに
後に気づいたりして、
独自性たっぷりのサウンドが面白い。
別にレイドバックサウンドを
目指していたわけではなくて、
日本に新たなタイプの
ロックバンドサウンドを
提示しようという
心意気の音だったのである。

そこを勘違いしてしまった理由としては、
抜群の演奏技術を持つメンバーなので、
ちょっと実験的なことをやっても
見事にはまってしまったからだ。
いわゆるベーシストがいないで
伊東暁がシンセベースを弾いているのも
そのヒントだって気づくのにも
時間を要してしまった。

BEATFILEシリーズで
『UGUISS』が初CD化した後、
翌年には
『UGUISS #2 Back in ’84』
がリリース。これには驚いた。
『Presentation』
1984年にレコーディングされながらも
お蔵入りとなっていた作品というのだ。
佐橋佳幸によると解散で
リリース後のツアー活動や
プロモーションが
満足に行なえないことが問題となり
当時はリリースに漕ぎ着けられなかった
とのことだが、
佐橋佳幸のギターリフがリードする
「DEAR LITTLE BOY」
「BAD LOVE」
「TURN UP YOUR RADIO」
なども健在で、
「LUNCH BREAK」
「夏の終わる日(Before It’s Too Late)」
そして不朽の名曲「Songbird」
王道のウエストコーストサウンドのイメージが
1stより洗練されている。

一方で
「LOOK AT YOURSELF」
「哀しみのフライディ・ナイト」
「クリスティン」
などは、
1st『UGUISS』よりも
シンセが押し出された内容。
当時ちょうど
REBECCAがデビューする頃で、
時代性を意識した
ニューウェーヴポップと
メンバー自身が元々やりたかった
方向性との軋轢の中で生まれた
アルバムだったのかなと勝手に思っていた。

さらに驚いたのは
『UGUISS 30th Anniversary Edition』
初披露された幻のシングル
「気ままなプレゼンテーション」の存在!
これはもう完全に
REBECCA系ニューウェーヴポップアレンジで
超キャッチー!最高なのである。

今回、UGUISSの2枚のアルバムが
アナログレコードで
リイシューされるのだが、
2nd『Presentation』については
当初予定されていた
曲順どおりに収録されるという…
えっ、どういうこと!?
と驚いたのは
「気ままなプレゼンテーション」
1曲目に入っている!
「気ままなプレゼンテーション」も
アルバムに入れる構想だったのか!
と今さらになって知ったのである…!!
これは驚きだった。

『UGUISS』『Presentation』がカップリングでアナログレコード化!これは早々にプレミアつきそう…

「80年代前半、
テクノ&ニューウェーブ主流の音楽界、
しかもバブル黎明期に、
時代錯誤ともいえる音楽を引っ提げて
デビューした僕らを応援してくださった皆さんに、
少しでも恩返しができればうれしい限りです。」
とは今回のリイシューに寄せている
佐橋佳幸の言葉だが、その言葉の通り、
レイドバックした音だけで勝負している印象を
UGUISSに持っていたけれども、
実際はやはりあの時代の中で切磋琢磨しつつ
自分達の音を貫こうとしていた姿勢は
伝わってきます。
世代的なものも大きいでしょうが、
むしろ「気ままなプレゼンテーション」は
僕にはわかりやすかったし、
これがリリースされていればむしろ僕は
UGUISSの先駆性を
ストレートに感じていただろうなと。

ちなみにUGUISSのストーリーには
続きがあります。
30周年企画として
二代目シンガーに渡辺美里、
ベーシストに井上富雄を迎えて、
1st『UGUISS』に収められていた
「How Are You Doing?」
「Sweet Revenge」
をニューレコーディング!
面白いのはほぼアレンジは
変えてないのです。
このメンツでやるとこうなるっていう音で、
山根栄子のリスペクトたっぷりに歌い上げた
渡辺美里のソウルフルなヴォーカルも
実にはまっています。

高校時代に聴いた時の
“古さ”などもちろんなく、
2013年に聴いた
「Sweete Revenge」の
新たなチャプターは
非常に鮮烈なものだったのであります。
なんならこのメンツで
またやってくれないかなっていうのもあるし、
今は若手の女性シンガーでも
山根栄子テイストで歌える娘もいる気がするし
(なんなら紹介しますよ…っていうのは恐れ多すぎるか)
…UGUISSの可能性は決して終わっていないのです。

『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』2024年4月24日(水)発売!|otonano by Sony Music Direct (Japan) Inc.
傑作1stと幻の2ndをカップリングしたデビュー40周年記念アナログ2枚組!佐橋佳幸(ギター)、柴田俊文(キーボード)、松本淳(ドラムス)、伊東暁(キーボード、シンセベース)、山根栄子(ヴォーカル)のメンバーで1983年、EPICレーベルよ...

UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~

UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~
2024年4月24日(水)発売
アナログLP 2枚組 品番:MHJL-320~21
完全生産限定盤 価格:¥5,940(税抜価格¥5,400)

1983年デビュー当時に作成されたライブチラシ(3部)
プロモーション用パンフレット
ライナーノーツ&歌詞ブックレット(8ページ)封入
ライナーノーツ:天辰保文

カッティング:Warner Music Mastering
SMS静岡工場プレス

【収録曲】
DISC-1『UGUISS』(1983/9/21)
Side-A
1. How Are You Doing?
2. Sweet Revenge
3. Burnin’ City Lights
4. I Wanna Be A Superstar
5. Lookin’ For Love
Side-B
1. Change
2. Cause Of Life (夢を抱きしめて)
3. Love Can Be With You
4. Ball & Chain

DISC-2『Presentation』(1984 Recording / Unreleased)Side-C
1. 気ままなプレゼンテーション
2. 哀しみのフライディ・ナイト
3. LOOK AT YOURSELF
4. LUNCH BREAK
5. BAD LOVE
6. DEAR LITTLE BOY
Side-D
1. TURN UP YOUR RADIO
2. 夏の終る日 (Before It’s Too Late)
3. FUTURE
4. クリスティン
5. Songbird

UGUISS(1983-1984)~40th Anniversary Vinyl Edition~
Listen to content by UGUISS.

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