有賀啓雄のソロアルバム3部作が追悼盤としてリイシュー

小田和正・渡辺美里 等々、有名アーティストを支えた ベーシスト 有賀啓雄が他界

近年では小田和正Far East Club Band
ベーシストとして活躍していたほか、
SANISAIでの活動のほか、
渡辺美里のバンドのベーシスト、
バンマスとしても著名の他、
プロデューサー・アレンジャーとしても
数々の名作を残した有賀啓雄ありが のぶお

2023年に58才の若さで悲報が飛び込んできた時は
とても信じられなかった。

正直、今も実感が沸かない。

バンド『VIZION』のベーシストとして1983年デビュー。 アルバムは超プレミアム盤に。

元々は崎谷健次郎大竹徹夫
松本晃彦らが在籍したバンド、
VIZIONのベーシストとして1983年にデビュー。

唯一のアルバム『PSYCHOTIC CUBEサイカティック キューブ』は
超プレミアム盤となっており、
こちらのリイシューにも期待したいところ。

崎谷主導によるエレクトリックサウンドに、
Obscure Dance Party」などでシンセと同期させての
躍動感あふれるベースサウンドを聴かせている。

ベーシストとしての卓越した腕とソロデビュー

ベーシストとしてのその卓越したテクニックは、
超絶スラッププレイをフィーチャーした
岡村靖幸の「聖書」のシングルバージョンが
とりわけ衝撃的だった。

と同時にシンガーソングライターとしての顔を持ち、
1987年リリースの『Sherbet』で
ソロデビューした有賀啓雄といえば、
なぜか雨をテーマに歌うソングライターだった。

その透明感あふれるサウンドと
パワフルなベースプレイの印象とはまた違った
ウィスパーボーカルのイメージが印象的だったのである。

タイトルからも感じられる繊細な有賀の楽曲たち

雨色の僕と君」「さよなら入り缶ジュース」、
あと1センチ傘が寄ったら」など繊細な楽曲は
とりわけアラフィフ世代の心を捕らえて、
EPIC・ソニー筆頭とする
ソニー周りの仕事が多かったこともあり
Sherbet』は名盤として渡辺美里
岡村靖幸ファンらに認知されたのだ。

『Sherbet』以後は裏方仕事が多かった有賀だが、
1992年にシングル「僕の知らない雨が降る」で
ソロ活動を再開。

その後シングルにもなった
RAIN DOLPHIN」も引っ提げた
2ndソロアルバム『Umbrella』は
まさに待望のリリースだった。

さらにシングル「君の悲しみを聞かせてよ
好きになりたい」を収めた
Innocent Days』も翌年に発表。

この時期はラジオのプロモーションも
精力的に果たしており、
好きになりたい」は
自転車を漕いでいるプロモーションビデオも
当時作られた記憶があるのだが…。

ソロアルバム3枚、その後は石井達也・Charとユニットを

残念ながら雨の名曲は
アルバム3枚で途絶えてしまったのだが、
ベーシスト、プロデューサー
コンポーザーとしての作品は数多い。

1996年には石井竜也監督映画『ACRI』契機となり
石井Charと共に結成されたユニット
ACRIでのアルバム『ACRI』も記憶に新しい。

有賀啓雄 ソロアルバム3部作のリイシュー決定。 スーパーヴァイザーに佐橋佳幸!

『Sherbet』『Umbrella』『Innocent Days』の
3枚のソロアルバムを残した有賀啓雄だが、
このたび追悼盤としてこの3枚を
リマスタリング、リイシューされることが決定。

さらに今回のリイシューには
渡辺美里の現場を筆頭に共に
さまざまな作品を遺したギタリスト、
プロデューサー佐橋佳幸が
スーパーヴァイザーとして
参加しているのも話題となっている。

かれこれ
30年以上前の作品になってしまうのかと驚くが、
不思議と有賀のレインワールドは
時間の経過を感じさせない。

リリース当時からその美しい音世界と、
決して上手いシンガーだったわけではないかもしれないが、
柔らかで繊細な歌い口は実に魅力的だった。

今回のリマスターで
どれくらいサウンドがブラッシュアップされるのかも
非常に楽しみなのである。(北村和孝)

News新譜情報邦楽
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投稿者
北村和孝

埼玉県西川口出身、現在も在住 (あるいは西新宿の職場に籠城)。
元はSSW志望だが90年代後半にrhythmagicを立ち上げて鍵盤やギターもプレイ。
新宿ヘッドパワーを拠点にバンド活動やイベント企画も2010年代まで行なっていた。
大東文化大学卒業後、音楽雑誌Playerに入社。2018年より編集長に。
『高見沢俊彦Guitar Collection 500』『高崎晃Guitar Collection』などの大型写真集、
まるまる1冊女性ミュージシャンで構成した『魅惑のMuses』などの別冊も手がけた。
惜しくも2023年7月で音楽雑誌Playerが休刊となり、フリーの編集者として再スタート。
自ら撮影、取材、インタビュー、執筆するDIYスタイルで洋邦問わず80〜90年代ロックを主体に、
ジャズ/フュージョン、ラジオ、サブカル関連を日々追い続ける。銭湯も趣味。
2024年早々、敗血症ショックで救急搬送されてご迷惑をおかけしましたが回復しつつあります!もう大丈夫!

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